パーソナルハラスメントとは?職場での定義と防止策を解説

パーソナルハラスメントとは、簡単に言うと 「仕事とは関係のない個人の属性やプライベートに関することに対する、嫌がらせや不適切な言動」 のことです。

職場でのパーソナルハラスメントは、個人の尊厳を傷つけるだけでなく、社員のモチベーション低下や離職にも直結する重大な問題です。本記事では、パーソナルハラスメントの意味や事例、防止のポイント、そして研修を通じた解決策を詳しく解説します。
ハラスメントを放置せず、安心して働ける職場を作るための第一歩として、ぜひご一読ください。

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パーソナルハラスメントの意味と定義

パーソナルハラスメントとは、個人の人格やプライベートな領域を侵害する嫌がらせ行為のことです。

パワーハラスメントのように職務上の立場を利用する行為や、セクシャルハラスメントのように性的な言動に関わる行為とは異なり、仕事とは直接関係のない領域に踏み込む点が特徴です。本人が不快に感じる言動や態度が対象となります。

具体例としては、家庭の事情をしつこく聞く、容姿や性格をからかう、といった行為が挙げられます。

  • 対象は個人のプライベートや性格、価値観など
    • 例:容姿、家族構成、恋愛関係、宗教、趣味、性格の特徴など
  • 言動の形態は多様
    • 冗談のつもりで言った言葉
    • 過度にプライベートを詮索する質問
    • 特定の個人にだけ不適切な態度を取る
  • 仕事の指導や評価とは関係ない
    • 指導やフィードバックは仕事に関係する内容であれば問題になりません。
    • パーソナルハラスメントはあくまで「個人に対する不適切な扱い」が中心です。
  • 職場への影響が大きい
    • 被害者のストレスやモチベーション低下
    • チームの雰囲気悪化、離職リスク

厚生労働省のガイドラインでは「職場のあらゆるハラスメント行為を防止すること」が求められており、パーソナルハラスメントもその一環として企業に管理責任が問われる可能性があります。

パーソナルハラスメントの具体的な事例

パーソナルハラスメントは、一見すると「ちょっとした発言」に見える場合もあります。
しかし、積み重なることで被害者に深刻なストレスや苦痛を与えるため注意が必要です。

代表的な事例を挙げると以下のとおりです。

  • プライバシーの侵害
    恋人や結婚の有無、家庭環境などを執拗に尋ねる。
  • 容姿や性格への中傷
    「太っている」「暗い」「協調性がない」といった否定的な言葉を繰り返す。
  • 過干渉な指摘
    休日の過ごし方や趣味に対して否定的な発言をする。
  • 人間関係を利用した嫌がらせ
    仲間外れにする、悪口を広めるなどの行為。
  • 不適切なあだ名や呼称
    相手が気に入らないあだ名をつけ、何度も呼ぶ。
  • 身体的特徴への揶揄
    頭髪、体型(痩せている、太っているなど)をからかう。
    目や鼻の形などを馬鹿にする。
  • 出身校や出身地に関するからかい
    出身校や出身地をもとに「偏差値が低い」「田舎者だ」とからかう。
  • 性的指向や性自認に関するからかい
    行動などから「ホモ」「オカマ」「レズ」とからかう。

こうした行為は、本人だけでなく周囲の職場環境にも悪影響を及ぼします。

パーソナルハラスメントがもたらすリスク

パーソナルハラスメントを放置すると、企業や個人に以下のようなリスクをもたらします。

  • 職場環境の悪化
    人間関係がギクシャクし、職場全体の雰囲気が悪化する。
    結果として生産性やモチベーションが低下し、離職率や欠勤率が上昇する。
  • 企業リスク
    ハラスメント問題が労務トラブルに発展すれば、企業は損害賠償請求や社会的信用の失墜というリスクを抱える。
  • 従業員への心理的影響
    長期的なストレスにより、うつ病や適応障害などのメンタル不調を引き起こす可能性がある。

このように、パーソナルハラスメントは「小さなからかい」では済まず、深刻な経営課題へとつながりかねません。

パーソナルハラスメントを防ぐための対策

パーソナルハラスメント防止には、企業・管理職・個人の三位一体の取り組みが不可欠です。

  • 企業の取り組み
    相談窓口の設置、就業規則やガイドラインでの禁止明文化、定期的な社員アンケートの実施。
  • 管理職の取り組み
    日常的なコミュニケーションの改善、部下へのフィードバック方法の見直し、ハラスメント発生時の適切な初期対応。
  • 個人の取り組み
    不快な行為を受けた場合は記録を残す、信頼できる上司や相談窓口に早めに相談する。

組織の文化として「一人ひとりを尊重する職場」をつくることが最大の防止策となります。

パーソナルハラスメント防止研修の内容と導入事例

制度や規則だけでは、ハラスメントはなくなりません。現場で働く一人ひとりの意識を変えるためには、研修の実施が効果的です。
弊社は、ご希望の対象者に向け、適した研修プログラムを提供しています。事例にはなりますが、ご紹介させていただきます。

パーソナルハラスメント研修の内容

  • ハラスメントの基礎理解
    パーソナルハラスメントを含むさまざまなハラスメントの種類や具体例を、実際の事例を交えて学びます。
  • 指導と嫌がらせの違い
    「指導」と「嫌がらせ」の境界をケース比較で理解し、適切な指導方法を身につけます。
  • 相談・対応プロセスの体験
    発生時の相談・対応フローをロールプレイで実践し、対応スキルを強化します。
  • ケーススタディによる実践演習
    実際に起こりうる場面を想定し、適切な言動や対応方法をケーススタディ形式で学びます。
  • コミュニケーションスキル強化
    ワークを通じて、傾聴や配慮ある言葉づかいなど、職場で役立つコミュニケーション力を磨きます。
  • 組織的な予防体制づくり
    グループディスカッションを通じて、相談窓口の活用や管理職・人事部の役割を明確化し、組織としての体制を整えます。

研修を受けることで、社員自身が「これは不適切な行為だ」と気づき、未然防止につなげることができます。特に管理職層が研修を受けることで、組織全体に正しい対応が浸透します。

【導入事例】製造業での研修効果

ある製造業の企業では、若手社員から「プライベートを詮索されて困っている」という声が人事部に寄せられていました。たとえば「彼氏はいるの?」「結婚しないの?」といった質問が日常的に投げかけられ、本人は冗談として受け流せず、強いストレスを感じていたのです。

そこで、「パーソナルハラスメント防止研修」を導入し、管理職と一般社員に分けてそれぞれに適したプログラムを実施しました。

管理職向け研修

管理職向けの研修では、まず 「指導」と「過干渉」の違い を理解することから始めました。
部下への業務指導は必要不可欠ですが、個人のプライベートに過度に踏み込むことはハラスメントにつながるため、その境界線を明確にすることが重要です。

研修では具体的なケースを用いたワークを実施。
たとえば、部下に「休日は何をしているの?」と尋ねる場面を想定し、「仕事に関係のある話題か」「プライベートに踏み込みすぎているか」を判断させる演習を行いました。

管理職はロールプレイで「部下の家庭環境を詮索しない質問の仕方」や、「困った場合にどう対応するか」を実際に体験。

ある管理職は研修中に「つい軽い冗談でプライベートに踏み込んでしまうことがあった」と気づき、ロールプレイを通して「仕事に関係する話題に置き換える」方法を学ぶことができました。

  • 内容
    指導と過干渉の違いを理解し、部下のプライバシーを尊重したコミュニケーションを実践するワーク
  • 研修の様子
    部下に「休日は何をしているの?」と尋ねる場面を想定し、
    「仕事に関係する話題か」「プライベートに踏み込みすぎているか」を判断。
    ロールプレイで適切な質問の仕方や対応方法を体験しました。
  • 効果
    管理職が、仕事に必要な指導と過度な干渉を区別して行動できるようになり、部下のストレスを減らす方法を身につけました。

一般社員向け研修

一般社員向けの研修では、日常的に発生しやすい 冗談や雑談の中のハラスメント に焦点を当てました。
ケーススタディでは、「飲み会で『彼氏いるの?』と聞かれた場合」「容姿や服装についてコメントされた場合」など、具体的な場面を用意し、どの発言がハラスメントに該当するかをグループで議論しました。

さらに、相談の仕方や報告ルートをロールプレイ形式で練習。
「もし自分が困ったとき、どうやって上司に相談するか」を体験的に学ぶことで、実際の場面で迷わず行動できる力を身につけました。

参加した社員の一人「今までは『冗談だろう』と我慢していたが、相談していいんだとわかって気持ちが楽になった」と感想を述べています。

  • 内容
    冗談や雑談とハラスメントの境界線を理解し、相談の仕方を学ぶロールプレイ
  • 研修の様子
    「飲み会で『彼氏いるの?』と聞かれた場合」「容姿や服装についてコメントされた場合」など
    具体的な場面をケーススタディで議論。報告ルートや相談方法を体験的に学習しました。
  • 効果
    社員同士で「これは冗談ではなくハラスメントかもしれない」と声をかけ合う文化が生まれ、相談への心理的ハードルが下がりました。
    参加者の一人は「今までは我慢していたが、相談してよいとわかり気持ちが楽になった」と話しています。

研修後の変化

研修の結果、職場全体にさまざまな変化が見られました。

  • 管理職の対応力向上
    部下への指導が適切になり、ストレスの少ない職場環境が実現

    研修を通じて、部下への指導において「仕事に必要な指導」と「個人への過度な干渉」を区別できるようになりました。ある管理職は、「以前は無意識にプライベートの話をしていたが、仕事に関係する話題に置き換えるだけで部下のストレスが減る」と振り返っています。
  • 社員間のコミュニケーション改善
    互いに配慮し合い、ハラスメントを未然に防ぐ雰囲気が浸透

    社員同士で「これは冗談ではなくハラスメントかもしれない」と声をかけ合う文化が生まれました。
    昼休みに、同僚が他の社員に容姿の話をしようとしたところ、別の社員が「それ、ちょっとハラスメントにあたるかも」と注意できる雰囲気が生まれています。
  • 組織としての対応力強化
    相談件数は一時的に増えましたが、早期対応体制が整い、トラブルの長期化を防止

    研修後、相談件数はいったん増加しましたが、人事部が早期に対応する体制を整えたことで、トラブルの長期化を防ぐことができました。
    研修で学んだ対応フローを活用し、問題を迅速に解決できたケースも多く見られます。

研修で得た知識やスキルが、日常のコミュニケーションや対応に活かされ、職場全体のハラスメント防止力が確実に高まった事例です。

 

結果として、「問題を隠す」のではなく「オープンに相談できる」文化が職場に根づき、社員の安心感や信頼感が大きく向上しました。

パーソナルハラスメントのよくある質問(FAQ)

パーソナルハラスメントとパワハラの違いは何ですか?

パワハラは「職務上の立場を利用した嫌がらせ」を指しますが、パーソナルハラスメントは「仕事と直接関係のない個人の領域に踏み込む行為」が特徴です。
容姿や家庭環境など、プライベートに関わる言動が含まれます。

パーソナルハラスメントは法律で禁止されていますか?

厚生労働省の指針では、すべてのハラスメントを防止するよう企業に求めています。
ただし、現時点では「パーソナルハラスメント」という言葉自体は法律上の定義には含まれていません。
しかし、職場環境を害する行為として労務問題化する可能性があるため、企業には防止義務があるといえます。

冗談や雑談の中で起きるものもハラスメントになりますか?

本人が不快に感じ、繰り返し行われる場合はハラスメントに該当します。
「冗談のつもりだった」では済まされません。特に容姿や家庭の話題はデリケートであり、職場では控えるべきです。

パーソナルハラスメントを受けたらどうすればよいですか?

まずは言動の日時や内容を記録に残しましょう。
そのうえで、信頼できる上司や人事部門、社内の相談窓口に相談することが大切です。
社内で対応が難しい場合は、外部の労働局や労働相談窓口に相談する方法もあります。

企業がパーソナルハラスメントを防止するために最も有効な方法は?

明文化されたルールづくりと、全社員への意識啓発が不可欠です。特に有効なのが研修の実施で、社員一人ひとりが「どこからがハラスメントか」を理解し、行動に移せるようになります。

まとめ

パーソナルハラスメントは、冗談や雑談の中にも潜んでおり、気づかないうちに個人の尊厳を傷つけ、職場の健全性を損なう深刻な問題です。
だからこそ、早期発見と予防が重要であり、企業は「見過ごさない姿勢」を明確に示す必要があります。

そのためには、社員や管理職が正しい知識を身につけ、日常の中で適切な行動をとれるようになることが欠かせません。研修を通じてハラスメントの予防・早期対応を学ぶことが、安心して働ける職場づくりの第一歩となります。

ガイアシステムでは、組織の実態に合わせた カスタマイズ可能なハラスメント防止研修 を提供しています。
ぜひお気軽に ガイアシステムの研修にお問い合わせください。

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