リーダーシップとマネジメントは何が違うのか ─ 次世代リーダー研修─

ガイアシステム専務・青木による連載コラム「仕事論」。第3回のテーマは 「リーダーシップとマネジメントの違い」 です。
次世代リーダー研修の現場で、必ずと言っていいほど出る問いがあります。それは、「リーダーシップとマネジメントは何が違うのか」という問いです。方向を示すことがリーダーシップであり、管理することがマネジメントである。一般的にはそう説明されますが、実際の組織運営においては、その二つを切り離して考えることはできません。
未来を示すだけでは組織は動かず、管理だけでは前進は生まれません。今回は、現場での実践をもとに、リーダーシップとマネジメントの捉え方や次世代リーダーに求められる本質的な役割について考えていきます。
次世代リーダー研修で、必ず出る問い
ある企業での次世代リーダー研修でのことです。
オリエンテーションが終わった直後、一人の受講者の方が手を挙げました。
「今回のテーマは“次世代リーダー研修”ですよね。」
「しかし資料には“マネジメント能力向上”と書かれています。私たちが目指すのは、リーダーなのでしょうか。それともマネジメントなのでしょうか。」
非常に本質的な問いでした。
多くの組織で、リーダーシップとマネジメントという言葉は、明確に整理されないまま使われています。
私はそのとき、こうお答えしました。
「違いを理解することは重要です。しかし、違いにこだわりすぎる必要はありません。」
「本当に重要なのは、“組織が前に進んでいるかどうか”です。」
リーダーシップは「方向」、マネジメントは「実装」である
一般的には、
- リーダーシップは、方向を示す力
- マネジメントは、仕組みで成果を出す力
と説明されます。
これは、間違いではありません。
しかし現場では、この二つが分断されたとき、組織は確実に停滞します。
方向だけが示され、実行が伴わない状態。
管理はされているが、向かう先が示されていない状態。
どちらも、組織は本質的には動いていません。
私は、この二つの関係を次のように捉えています。
リーダーシップとは、未来を定義する力。
マネジメントとは、その未来を現実に変える力。
そして、組織を前に進めるのは、この二つを切り離さずに扱える人です。
次世代リーダーに求められているのは、「牽引」と「実装」を同時に行う力
では、次世代リーダー研修で目指しているものは何でしょうか。
私は「人とチームを育てながら、ビジョンに向かって組織を前に進める力」であると考えています。
そのためには、
- 目標を設定する
- 進捗を確認する
- 役割を明確にする
- フィードバックを行う
- 感情の変化に向き合う
これらすべてが必要になります。
これらは「マネジメント」と呼ばれることもあれば、「リーダーシップ」と呼ばれることもあります。
しかし、呼び方は本質ではありません。
重要なのは、それが機能しているかどうかです。
未来を示すだけでは、組織は変わりません。
管理するだけでも、組織は前進しません。
未来を示し、それを現実に変えるところまで関わること。
それが、次世代リーダーに求められている役割です。
リーダーになろうとする人ほど、「語ること」に偏りやすい
現場でよくあるのが、「リーダーシップを発揮したい」と考える人ほど、管理業務を軽視してしまうケースです。
ビジョンは語るが、足元が崩れている。
進捗が確認されていない
課題が放置されている…
これでは、空回りするだけで、組織は変わりません。
理想は、語るだけでは現実にならないからです。
一方で、管理に優れている人もいます。
計画を立てる。
進捗を管理する。
問題を整理する。
しかし、なぜそれをやるのか、どこへ向かうのかが語られない。
この場合、組織は効率的に動きますが、前進はしていません。どちらも、本質的には不十分です。
リーダーとは、理想を現実に変えられる人。
私は、リーダーを次のように定義しています。
理想を語る人ではなく、理想を現実に変えられる人。
- 方向を示し、
- 仕組みに落とし、
- 行動に変え、
- 継続できる状態をつくる。
ここまで行って初めて、組織は変わります。
つまり、
牽引することと、整えること。
この二つは、別の役割ではありません。
牽引しながら整える。
整えながら牽引する。
この循環をつくることこそが、リーダーシップとマネジメントの本質なのです。
最後に─次世代リーダーに伝えたいこと
言葉の定義を覚えること自体が、目的ではありません。
大切なのは、自分自身に問い続けることです。
今、自分は
・チームに方向を示せているだろうか
・実行を支えられているだろうか
・人を育てる関わりができているだろうか
リーダーシップか、マネジメントか。
その二択で考える必要はありません。
牽引しながら整える。
整えながら牽引する。
その両方を担っていくことが、次世代リーダーに求められている役割なのだと思います。
もし今、「自分はリーダータイプではない」と感じている方がいたとしても、心配する必要はありません。
リーダーは、生まれ持った性格で決まるものではなく、日々の行動の積み重ねによって形づくられていくものです。
その行動の中には、マネジメントも、リーダーシップも、自然と含まれていきます。
誰にでも得意なことと、苦手なことがあります。
そして、上の立場になればなるほど、多くのことを求められるようになります。大変さを感じることも、きっと少なくないでしょう。
それでも、自分の課題から目を背けず、一つひとつ向き合っていくことで、人は必ず成長していきます。
完璧なリーダーである必要はありません。
悩みながらも、前に進もうとすること自体が、リーダーとしての大切な一歩なのだと思います。

青木 佑介(Yusuke Aoki)
株式会社ガイアシステム 専務取締役
With+ウィズタス 教育研修事業 事業統括責任者
エグゼクティブコンサルタント
大学時代は、心理学・リーダーシップ論を専攻、2006年新卒で入社。人材総合コンサルタントとして、派遣・紹介・社員採用を通じた様々な企業サポートに従事。入社2年で50名が所属する大阪支社副責任者に抜擢。2008年、同グループのNPO法人の立上げに携わり、ソーシャルビジネスや企業CSRのコンサルタントとしても活躍。2009年、神戸本社にて教育事業部を立ち上げ、事業部の責任者を担いながら、自身も人財育成・組織マネジメントコンサルタントとして、年間100社、2000名、延べ約1万2千人の人材育成に携わる。自身の実体験から見出されたリーダーシップ論、組織マネジメント論は、数多くの経営者・リーダーから支持を受けている。最近では、従来の研修ベンダー会社では対応できない、企業の幅広いニーズに応え、社会のリーダーの輩出に数多く寄与する。2019年より同社専務取締役に就任。2020年同グループ会社である株式会社ガイアサイン専務取締役に就任。







