企業向けコンプライアンス研修の進め方!目的やテーマ例、効果的な実施方法を解説

近年、企業の不祥事に関するニュースが後を絶たず、企業のコンプライアンス体制に厳しい目が向けられています。コンプライアンス違反は、会社の信頼がなくなってしまい、場合によっては、会社の経営自体が危なくなるような大きな問題にまで発展しかねません。

だからこそ、従業員一人ひとりの意識を高め、組織全体でリスクを管理するための「コンプライアンス研修」が、今や企業にとって不可欠な取り組みとなっています。

 

本記事では、コンプライアンス研修の基本的な目的から、効果的な研修テーマ、そして成果を最大化するためのポイントまで、網羅的に解説します。

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コンプライアンス研修とは?企業に求められる理由

コンプライアンス研修とは、社員が、会社のルールや法律を守ること、そして、人として正しいことをする意識を強く持てるよう、企業活動における不正行為やトラブルを未然に防ぐことを目的とした教育プログラムです。
単に法律の知識をインプットするだけでなく、従業員一人ひとりが企業の一員としての社会的責任を自覚し、倫理的な行動を実践できるように促すことが大切です。

コンプライアンスの定義と範囲の広がり

コンプライアンスは、直訳すると「法令遵守」を意味しますが、現代の企業経営においてその範囲は大きく広がっています。

法律や業界の規制を守ることはもちろん、社内規程、業務マニュアル、企業倫理、さらには社会的な規範や常識といった、より広い範囲のルールを守ることが求められています。 このようにコンプライアンスの範囲が広がっている背景を理解することが、研修の第一歩となります。

コンプライアンス違反が企業に与える重大なリスク

従業員によるコンプライアンス違反は、企業に対して計り知れない悪影響をもたらす可能性があります。一度問題が発生すると、下記のような深刻な事態に直面するリスクがあります。

リスクの種類具体的な内容
法的リスク行政処分(営業停止、許可取り消し)、刑事罰(罰金、懲役)、損害賠償請求
経済的リスク売上減少、株価下落、取引停止、許認可の取り消し
信用的リスク企業イメージの悪化、ブランド価値の低下、顧客離れ、採用活動への悪影響
組織的リスク従業員の士気低下、離職率の増加、優秀な人材の流出

これらのリスクは相互に関連し合っており、一つの違反が連鎖的に企業の存続を脅かす事態へと発展することもあります。

企業における注意すべきリスクを具体的に知り、危機管理力を高めたい方はリスクマネジメント研修についても要チェックです。

なぜ今、コンプライアンス研修の重要性が増しているのか

現代社会において、コンプライアンス研修の重要性はかつてなく高まっています。その背景には、SNSが広まったことで、情報があっという間に多くの人に伝わるようになったことが挙げられます。従業員の不適切な投稿が瞬く間に「炎上」し、企業の評判を大きく損なうケースは後を絶ちません。

また、働き方の多様化に伴い、ハラスメントの定義も変化・拡大しており、従業員が知らず知らずのうちに加害者になるリスクも増大しています。 このような環境変化に対応し、企業が持続的に成長するためには、全従業員が新しい知識や情報を学び、人として正しい考えを持つための定期的な研修が不可欠なのです。

コンプライアンス研修の4つの主な目的

効果的なコンプライアンス研修を設計するためには、その目的を明確に設定することが大切です。
研修を通じて達成すべきゴールは、主に以下の4つに集約されます。

法令・社内ルールの周知徹底

コンプライアンス研修の最も基本的な目的は、事業活動に関連する法律や社内ルールを全従業員に正確に理解させ、遵守を徹底することです。法改正などによってルールは常に変化するため、定期的な研修を通じて最新の情報を共有し、組織内での認識を統一することが不可欠です。 これにより、「知らなかった」という理由でのコンプライアンス違反を防ぎます。

コンプライアンス違反リスクの抑制

過去の違反事例などを通じて、コンプライアンス違反が企業や個人にどのようなリスクをもたらすかを具体的に学習します。違反行為が引き起こす損害の大きさを従業員一人ひとりが実感することで、コンプライアンスを「自分ごと」として捉えるようになります。 結果として、個々の従業員の行動が慎重になり、組織全体のリスクが効果的に抑制されます。

風通しの良い職場環境の構築

コンプライアンス研修は、従業員が自由に意見を述べ、疑問や懸念を安心して表明できるような「風通しの良い職場環境」の構築にも寄与します。 研修を通じてコンプライアンスに関する共通の基盤ができることで、問題が発生した際に相談しやすくなり、不正行為の早期発見や未然防止につながります。

企業価値と社会的信用の向上

コンプライアンスを遵守する企業姿勢を明確にすることは、顧客、取引先、株主といったステークホルダーからの信頼を獲得し、企業価値を高める上で極めて重要です。
徹底したコンプライアンスへの取り組みは、企業の信頼性やブランドイメージを向上させ、ビジネスチャンスの拡大にも繋がります。研修は、その姿勢を、社内の人にも社外の人にもはっきりと伝えるための具体的なアクションの一つと言えるでしょう。

コンプライアンス研修で扱うべき必須テーマ例

コンプライアンス研修で取り上げるべきテーマは多岐にわたりますが、特に現代の企業においてリスクが高く、優先的に扱うべきテーマが存在します。
以下に、多くの企業で共通して重要となるテーマ例を挙げます。

ハラスメント(パワハラ・セクハラ等)の防止

職場におけるハラスメントは、従業員の尊厳を傷つけ、職場の生産性を著しく低下させる重大な問題です。パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメントなど、様々な種類のハラスメントの定義や具体例を学び、どのような言動がハラスメントに該当するのかを正しく理解することが求められます。

ハラスメントの種類概要
パワーハラスメント職務上の地位や人間関係の優位性を背景に行われる、業務の適正な範囲を超える言動
セクシュアルハラスメント職場における性的な言動により、他の労働者に不利益や不快感を与えること
マタニティハラスメント妊娠・出産、育児休業等の利用を理由とする、嫌がらせや不利益な取り扱い

情報セキュリティと個人情報の取り扱い

デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む現代において、情報セキュリティの確保は企業の生命線です。
個人情報保護法の遵守はもちろんのこと、企業の機密情報の漏洩を防ぐための具体的なルールや、サイバー攻撃への対策について全従業員が理解しておく必要があります。
特にテレワークの普及により、社外での情報管理の重要性が増しています。

企業の取引に関わる法律(下請法・独占禁止法など)

公正な取引は、企業活動の基本です。特に、発注者の立場にある企業は、下請事業者に対して不当な要求をしないよう、下請法の規定を正しく理解しておく必要があります。
また、価格カルテルや入札談合といった独占禁止法に違反する行為は、会社の信頼をすっかりなくしてしまうような、非常に大きなルール違反であることを認識させる必要があります。

SNSの適切な利用と炎上リスク対策

従業員個人のSNS利用が、企業の評判に大きな影響を与える時代です。業務内容や顧客のプライバシーに関する情報の投稿、不適切な言動などが大きなトラブルに発展するリスクを周知徹底させなければなりません。SNSの利用に関する社内ガイドラインを策定し、研修を通じてその内容を浸透させることが、炎上リスクの効果的な防止策となります。

効果的なコンプライアンス研修の実施方法と流れ

コンプライアンス研修を見せかけになってしまうことを避け、実質的な効果を上げるためには、計画的なアプローチが必要です。
ここでは、研修を成功に導くための標準的な流れを4つのステップで解説します。

手順

従業員の意識レベルの現状把握

研修を計画する最初のステップは、アンケートやヒアリングを通じて、従業員のコンプライアンスに関する知識や意識のレベルを把握することです。 「どの分野の理解が不足しているか」「どのような点に課題を感じているか」といった現状を正確に把握することで、研修で重点的に取り組むべき課題が明確になります。

手順

自社のリスクに合わせた優先順位の決定

現状把握の結果と、自社の事業内容や業界の特性を踏まえ、どのようなコンプライアンスリスクが最も高いかを評価し、研修テーマの優先順位を決定します。 例えば、個人情報を多く取り扱う部署では情報セキュリティを、顧客との直接的なやり取りが多い部署ではハラスメント防止を重点テーマにするなど、メリハリのある計画が効果的です。

手順

対象者と目的に合わせた研修内容の策定

研修の内容は、対象となる従業員の階層(新入社員、管理職、経営層など)や職種に応じて最適化する必要があります。

対象者研修内容のポイント
新入社員社会人としての基本的なルール、企業理念、行動規範の理解を促す
中堅社員自身の業務に潜むリスクの再認識、後輩指導における注意点を学ぶ
管理職部下のコンプライアンス違反を防止・発見するためのマネジメント、
問題発生時の対応方法を習得する
経営層企業全体のコンプライアンス体制構築の重要性、
経営判断に伴う法的責任を理解する
手順

研修後の効果測定と継続的な改善

研修は実施して終わりではありません。研修後に理解度テストやアンケートを行い、内容がどの程度定着したかを確認する「効果測定」が不可欠です。
その結果を分析し、「説明が分かりにくかった点」や「もっと深掘りしてほしいテーマ」などを次回の研修内容に反映させることで、PDCAサイクルを回し、研修プログラムを継続的に改善していくことが大切です。

ガイアシステムではレイヤーごとに合わせた研修を実施しております。
組織課題や現場課題に合わせたカリキュラムを個社ごとにカスタマイズしてご支援可能です。
お気軽にご相談ください。 

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コンプライアンス研修の効果を最大化する5つのポイント

研修の流れを理解した上で、さらにその効果を高めるための具体的な工夫を取り入れましょう。
ここでは、従業員の心に響き、行動変容を促すための5つのポイントを紹介します。

他社事例や身近なケーススタディを取り入れる

単に法律やルールを説明するだけでは、研修は退屈なものになりがちです。
実際に他社で起きたコンプライアンス違反の事例や、自社の業務で起こりうる身近なヒヤリハット事例などをケーススタディとして取り上げることで、従業員は問題を具体的にイメージしやすくなります。

従業員が当事者意識を持つ工夫をする

グループディスカッションやロールプレイングといった、参加型の手法を取り入れることも非常に効果的です。
「もし自分がこの立場だったらどうするか?」を考え、他の参加者と意見交換することで、コンプライアンスを「自分ごと」として捉え、主体的に考える姿勢が養われます。

経営層が率先して研修に参加する

コンプライアンスは、全社的に取り組むべき課題です。経営層が研修に率先して参加し、コンプライアンスを重視する姿勢を明確に示すことは、従業員の意識向上に大きな影響を与えます。
経営トップからのメッセージは、コンプライアンス遵守が企業の根幹であることを全社に浸透させる上で最も強力な手段の一つです。

eラーニングと集合研修を組み合わせる

全従業員を対象とする基礎知識の習得には、時間や場所を選ばないeラーニングが効率的です。 一方で、より実践的なディスカッションや質疑応答には集合研修が適しています。
この二つを組み合わせる「ブレンデッドラーニング」によって、それぞれのメリットを活かし、学習効果を最大化することができます。

定期的な研修で意識を定着させる

コンプライアンスに関する知識や社会の規範は常に変化しています。
また、一度学習した内容も時間とともに薄れてしまいます。そのため、年1回など定期的に研修を実施し、継続的に意識を喚起することが不可欠です。 継続的な取り組みこそが、コンプライアンス意識を組織文化として根付かせる鍵となります。

まとめ

本記事では、企業におけるコンプライアンス研修の重要性から、その目的、具体的なテーマ、効果的な実施方法に至るまでを包括的に解説しました。

コンプライアンス研修は、単なるリスク回避の手段ではなく、企業の持続的な成長と企業価値の向上に不可欠な戦略的投資です。この記事を参考に、自社に最適な研修を計画・実行し、全従業員が誇りを持って働ける、信頼される企業を目指してください。

ガイアシステムでは、コンプライアンス研修の経験豊富な講師が、事前準備からアフターフォローまでをお手伝いします。
ご担当者様のニーズに合わせたテーマ設定等をサポートさせていただきますので、どんなことでもご相談ください。

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