研修講師としての失敗から学んだこと― 現場で起きた違和感と、向き合い直した原点 ―

研修講師として活動を続けていると、うまくいった経験だけでなく、思うように進まなかった経験とも向き合うことになります。それは、研修の質や自分自身の在り方を、改めて問い直す時間でもあります。

今回は、弊社研修講師・岡本に「研修講師としての失敗体験と、そこから何を学んだのか」について話を聞きました。
語られたのは、講師として駆け出しの頃に経験した、今の研修スタイルの原点ともいえる、忘れられない出来事でした。

本記事に回答した研修講師
研修講師 岡本

岡本 好市
株式会社ガイアシステム 研修事業部長
現場に寄り添った対話型の研修を強みとし、受講者の行動変容につながるプログラム設計を行っている。また、NPO法人の職員も兼務し、災害支援の分野にも継続的に携わっている。

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研修講師3年目に経験した、現場でのつまずき

今から10年前、研修講師として3年目の頃のことです。
ある企業で、店舗のグランドオープンに合わせた接客研修を担当しました。

研修の目的は、スタッフのモチベーションを高め、接客スキルの方向性をそろえること。
オープンに向けて忙しい時期ではありましたが、現場の力になれる研修を届けたいという思いで、事前準備を進めていました。

当時は、これまでの経験を踏まえながら、研修内容や進め方にも一定の手応えを感じており、
「この研修なら、きっと役に立つはずだ」という自信を持って現場に入りました。

研修は数日間にわたって実施され、参加していたスタッフの皆さんは、前向きに、楽しみながら取り組んでくださっていました。
発言も多く、ワークにも積極的に参加していただき、表情や反応からも、研修の意図が伝わっているように感じられました。

一見すると、研修は順調に進んでいるように見えていました。
少なくともその時点では、大きな問題が起きるとは想像していませんでした。

「これは意味があるのでしょうか?」という一言

しかし、研修4日目あたりで状況が一変します。
店舗の担当者の方から、突然こう問われました。

「これには意味があるのでしょうか?同じことの繰り返しではないですか?」

その瞬間、頭が真っ白になりました。
準備を重ね、自信を持って進めてきた研修だったからこそ、想定していなかった問いに、すぐに言葉を返すことができませんでした。

その後、自分なりに研修の意図や狙いを説明し、
研修自体は継続できたものの、担当者の方が完全に納得している、という感触は残りませんでした。

言葉としては理解していただけているように見えても、表情や反応の端々に、どこか引っかかりが残っている。
「わからなくはないが、まだ腑に落ちていない」そんな空気が、研修の場に漂っていました。

その違和感を感じながら進める研修は、それまでとは少し違った緊張感を伴うものになりました。
参加者の皆さんは引き続き前向きに取り組んでくださっている一方で、
自分の中では、「この研修は、本当に相手の求めているものになっているのだろうか」という迷いが拭えなくなっていきました。

この一言をきっかけに、研修が順調に進んでいるように見えていても、関係者全員が同じゴールを共有できているとは限らない、という現実を突きつけられることになります。

チームに支えられ、研修をやり切ることができた

当時の研修には、専務の青木、田近講師と共に、チームとして取り組んでいました。
研修途中で感じた違和感や不安を、一人で抱え込まず、その日のうちに状況を共有しました。

「どこでズレが生じていそうか」
「担当者の方は、何に引っかかっているように感じたか」
そうした点を言葉にしながら、研修の進め方や伝え方について、率直に意見を交わしました。

青木からは、相手の立場に立った見方や、担当者が置かれている状況についての視点をもらい、
田近講師からは、研修中の具体的な言い回しや、進行の工夫についてのアドバイスを受けました。

一つひとつは小さな調整でしたが、「何を、どの順番で、どう伝えるか」を改めて整理するきっかけになりました。

翌日以降は、研修の狙いや意図を、これまで以上に丁寧に言葉にしながら進めることを意識しました。

担当者の方とも適時確認を取り、感じていることや疑問を、その場で共有してもらうようにしたことで、なんとか研修を終えることができました。

この経験を通して強く感じたのは、「一人で抱え込まなくてよかった」ということです。
もし一人で対応していたら、研修をやり切ることも、その後につながる学びを得ることも、難しかったかもしれません。

チームで支え合いながら進められたからこそ、この経験は、失敗で終わらず、次につながる学びになりました。

振り返って気づいた、本当の原因

当時は正直なところ、「このまま研修を進めたい」という思いや、
「事前にもっとすり合わせができていれば」という戸惑いもありました。

自分なりに準備をしてきた分、その思いが強かったのだと思います。

しかし、時間を置いて冷静に振り返ってみると、原因は別のところにあったと感じています。

それは、相手が本当に求めていたことを、十分に理解できていなかったという点でした。
研修の内容や進め方以前に、「この研修で何を実現したいのか」「どこをゴールとしているのか」を、
共通言語として持てていなかった
のです。

こちらは「現場の学び」や「行動変容」を意識して進めていましたが、相手が期待していたものと、焦点を十分に合わせきれていませんでした。

そのズレに早い段階で気づき、立ち止まって確認できていなかったことが、違和感を広げてしまったのだと思います。

結果として、自分のアプローチが十分ではなかったことで、「イメージと違う」という言葉につながってしまったのだと、今は受け止めています。

この経験を通して、研修の成否は内容の良し悪しだけで決まるものではなく、事前の対話や目的の共有が、いかに重要かを改めて実感しました。

どれだけ準備を重ねていても、相手と同じ方向を向けていなければ、研修は本来の力を発揮できないのだと思います。

失敗から学び、今につながっていること

この経験以降、研修に臨む姿勢は大きく変わりました。
研修内容をつくる前に、「相手は何を期待しているのか」「どこに違和感を感じやすいのか」を、これまで以上に丁寧に確認するようになりました。

現在は、チーム体制をとり、事前のすり合わせや振り返りを重ねながら、より良い形で研修を進めることを大切にしています。

当時は、簡単に気持ちを切り替えられるものではありませんでした。
ですが、あの経験があったからこそ、研修を「伝える場」ではなく、「相手と一緒につくる場」として捉えるようになったのだと思います。

この経験が、研修設計にどう反映されているか

当時の経験を通して強く感じたのは、研修内容そのもの以上に、「研修の目的やゴールが、どこまで共有されているか」が、研修の成否を大きく左右するということでした。

現在の研修設計では、研修を始める前の段階から、
・今回の研修で何を目指すのか
・どのような変化を期待しているのか
・現場で特に課題になっている点はどこか

といった点を、できるだけ具体的にすり合わせることを大切にしています。

また、研修の途中でも、
「ここまでの内容は、現場の感覚とズレていないか」
「想定していたイメージと違う点はないか」
といった確認を挟みながら、進めるようになりました。

一方的にプログラムを進行するのではなく、その場で感じた違和感や疑問を、言葉にしてもらう時間を設ける。
そうすることで、研修は“用意されたもの”ではなく、その組織や現場に合わせて、少しずつ形づくられていくものになると考えています。

あのとき感じた「相手の求めている本質を捉えきれていなかった」という反省は、
今の研修設計において、目的の共有、途中での確認、対話の余白という形で、確実に活かされています。

まとめ

研修講師として活動を続ける中で、思うように進まなかった経験は、自分自身の研修の進め方を見直すきっかけになりました。

内容を伝えること以上に、相手が何を求めているのかを理解し、目的やゴールを共有し続けること。
そして、研修の途中でも対話を重ねながら、その場に合った形へと調整していくこと。

こうした姿勢は、あのときの経験を丁寧に振り返ってきたからこそ、今の研修設計の中に少しずつ積み重なってきたものです。

岡本講師の研修では、完成された正解を押し付けるのではなく、現場と一緒につくり上げていくことを大切にしています。
その背景には、失敗から学び続けてきた姿勢があります。

講師プロフィール

岡本 好市(おかもと こういち)

ガイアシステム 岡本講師

企業向け研修では、チームビルディング・コミュニケーションプログラムを主に担当し、業種・業界・階層問わず年間約100回以上の研修を実施。企業内での研修カリキュラムの仕組み構築や研修トレーナーの育成、新卒採用強化のコンサルタントとしても活躍している。

情熱を持って受講者に接し、モチベーション向上と前向きな行動変容を促せるよう研修を展開。顧客に寄り添い、成長をサポートする熱意あふれる指導者として多くの支持を得ている。

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