開催報告 能登リーダーシップサミット2026

2026年8月19日、石川県七尾市の和倉温泉「日本の宿 のと楽」にて「能登復興リーダーシップサミット2026」が開催されました。株式会社ガイアシステムは、NPO法人ユナイテッド・アース、七尾市産業振興課とともに、本サミットの企画・運営に関わらせていただきました。全国と能登から127名が集った一日をご報告します。
ABOUT
復旧を超え、日本の再生を能登から
能登半島地震から2年半あまり。地域産業の再建、担い手の確保、若い世代の流出といった課題は、いまなお地域に重く残されています。いま能登に必要なのは、単なる「復旧」ではなく、未来を創る“再生の力”です。
本サミットは、能登で復興に挑み続ける経営者と、全国で利他の心を持って経営に取り組む経営者が出会い、「これからどんな能登をつくるのか」に本気で向き合う場として企画しました。軸としたのは、日本古来の再生思想「常若(とこわか)」と「利他の経営」です。


PROGRAM
当日のプログラム
特別講演
伊勢神宮 神官・音羽悟氏による「式年遷宮に学ぶ、日本再生の智慧」。
1300年続く「常若」の精神から、再生と継承の本質を紐解きました。
第1部 リーダーシップサミット
「利他の経営と地域産業の未来」をテーマに、5名の経営者が経営体験を発表しました。
登壇したのは、全国各地から集った3名、そして能登から2名の経営者です。
第2部 交流会
「未来を創る共創の場」。
テーブルごとのワークショップで、能登の未来に向けたアイデアと実行プランを語り合いました。
第3部 懇親会
一日の学びと対話を、さらに深い「つながり」へ。
新たな仲間との絆が生まれた夜となりました。

特別講演
講師:音羽 悟 氏(伊勢神宮 神官)
式年遷宮に学ぶ、日本再生の智慧

壊れたものから、新しい未来が生まれる。
1300年続く伊勢神宮の「常若(とこわか)」の精神から、再生と継承の本質を紐解き、
日本再生のヒントを探る講演となりました。
災害を知る先人の智慧
高台に位置する伊勢神宮の外宮は、過去の大きな災害の際、人々が避難する場所としての役割も果たしてきました。
神社は、ただ祈りを捧げるためだけの場所ではない。土地の地形や自然、過去の災害を知る先人たちの智慧がそこに込められており、全国の神社もまた「選ばれた場所」に建てられているのだと伺いました。
「受け継ぐ」だけではなく、「生まれ変わる」
伊勢の神宮では、約20年に一度、社殿や神宝を新しくする営みが1300年以上続いています。
古いものをそのまま残すのではなく、大切なものを受け継ぎながら、新しく生まれ変わる。
それが「常若(とこわか)」という考え方です。
変わらないために、変わり続ける。復興とは、壊れたものを元に戻すことだけではない。
何を残し、何を受け継ぎ、何を新しく生み出すのか。
いままさに復興の道を歩む能登に、そのまま重なる問いでした。
お伊勢参りが育んだ、地域経済の原型
伊勢の神宮と神道の伝統は、信仰の面だけでなく、経済の面でも日本の地域を動かす大きな力となってきました。
江戸時代、全国から膨大な数の人々が伊勢を目指した「お伊勢参り」。
街道沿いには宿場町が栄え、土産物や各地の名産品が流通し、情報と文化が人とともに全国を巡っていく。
宿泊・飲食・物販・金融・広報にあたる機能が信仰を核として一体となった、大衆観光(ツーリズム)と消費経済の原型でした。
祈りの場が人を呼び、経済を動かし、地域を潤す。
式年遷宮とともに1300年にわたって受け継がれてきた再生の智慧は、精神のあり方にとどまらず、
地域が経済的に立ち直り、栄え続けるための実践知でもあったのです。
観光を基幹産業とする能登・和倉温泉にとって、示唆に富む歴史であり、能登の未来を考えることは、
これからの日本の地域を考えることだと、参加者一人ひとりに、大きな視点と問いを残す時間となりました。


第1部 リーダーシップサミット
利他の経営と地域産業の未来
逆境を乗り越えてきた経営者から、何を学ぶのか

逆境を乗り越えてきた5名の経営者から学ぶ―経営体験発表
全国各地から集った3名、そして能登から2名、あわせて5名の経営者による経営体験発表を実施しました。
事業の危機、もう駄目かもしれないと思うほどの困難。それでも、どのような理念(フィロソフィ)で考え、決断し、行動してきたのか。きれいな成功談ではなく、実際に逆境をくぐり抜けてきたからこそ語れる、一人ひとりの経営の物語が共有されました。
利他の経営と、諦めない姿勢
そこから見えてきたのは、利他の経営、諦めない姿勢、感謝すること、そして常に創意工夫を続けること。
京セラ創業者・稲盛和夫氏の「もうダメだというときが仕事のはじまり」という言葉のとおり、困難な状況を前にしても立ち止まるのではなく、「では、どうするのか」を考え、すぐに行動へ移していく。その姿勢が会社を守り、社員を守り、時には地域を動かす力にもなってきたことを、それぞれの体験から学びました。
座長・ファシリテーター
株式会社ガイアシステム 代表取締役/NPO法人ユナイテッド・アース 主宰の渕上智信が座長を務め、
登壇者の皆さまと会場をつなぎました。




第2部 交流会/第3部 懇親会
未来を創る共創の場
地域と全国の経営者が「実践する仲間」に

全国の経営者と地域事業者が一堂に会し、想いを共有しながら、新たな連携やプロジェクトのきっかけを生み出す時間となりました。
能登の未来に向けた具体的なアイデアと実行プランが生まれた
10のテーブルに分かれたワークショップからは、事業承継と若者をつなぐ仕組み、能登を新事業の実証フィールドとして活かす構想、観光・関係人口の拡大、地域産業の海外展開など、能登の復興・発展に向けた具体案が数多く生み出されました。
地域と全国の経営者が「実践する仲間」としてつながった
交流会を通じて、外から支援する/中で受け止める、という一方向の関係ではなく、地域も業種も世代も越えて、それぞれが持つ経験・知恵・人とのつながりを持ち寄る場となりました。参加者からは「それなら、この人とつなげられる」「自分たちの会社なら、こんな協力ができる」と、アイデアだけでなく「誰と、どう動くのか」まで具体化した対話が多数生まれました。
第3部|懇親会 「まだまだ話し足りない」――能登の未来を語り合った夜
特別講演会から第2部まで、一日を通して重ねてきた学びと対話。その締めくくりとなる懇親の時間には、そこで共有した想いや気づきが、さらに深い「つながり」へと変わっていきました。「まだまだ話し足りない」――そんな声があちこちで交わされる中で、新たな仲間と、これからにつながる確かな絆が生まれた夜となりました。
SUMMARY
「能登にはまだ可能性がある」という実感
参加者からは、「能登には、まだまだ可能性がある」「この仲間たちとなら、新しい未来をつくっていける」という声が数多く聞かれました。復興の担い手が“支えられる側”ではなく“創る側”として立ち上がる。本サミットがその転換点となったことは、大きな成果であったと考えております。
この日つくりたかったのは、「一緒に動く仲間」
能登の中だけで復興を考えるのでもなく、全国から来た人が外から支援するだけでもない。地域も、業種も、世代も越えて、それぞれが持っている経験や知恵、人とのつながりを持ち寄り、同じ未来を描き、一緒に動いていく。今回のサミットを通じて、そんな新しいつながりが生まれました。



物販ブース
輪島・能登の皆さまとともに
輪島の今と、地域の魅力に触れる時間

輪島朝市の皆さまがご出店
出張輪島朝市事務局様と連携し、輪島の皆さまにご出店いただきました。
輪島塗をはじめ、民芸品や漆器、名産の乾物などが並び、七尾市の能登スタイル様にも能登ゆかりの商品をお届けいただきました。
物販を通じた、人と人とのつながり
買い物やお土産選びを楽しむ参加者の姿が絶えず、出店者の皆さまと直接言葉を交わす場面も多く見られました。
輪島の今と、地域の魅力に触れる貴重な機会となりました。
ご出店の皆さま(敬称略)
輪島朝市:冨水商店/道下商店/漆の店 たけはら/小西堂/喜三漆芸工房
七尾市:能登スタイル

SPEAKERS
ご登壇者

特別講演 講師
音羽 悟 氏
伊勢神宮 神官
神宮司庁 広報室次長・神宮参事
滋賀県出身。皇學館大学大学院を修了後、平成4年に神宮出仕。神宮研修所教員や皇學館大学講師も兼任。『悠久の森 神宮の祭祀と歴史』など専門書を多数執筆し、第六十三回式年遷宮に向けた神宮の取り組みを各地で伝えている。

経営体験発表
福島 裕 氏
ガリレイホールディングス株式会社
代表取締役会長
1992年に代表取締役社長へ就任。「生活者=社会の幸せ」を企業理念に掲げ、国内で初めて業務用冷蔵庫を規格化。国内外の食のインフラを支え、2024年前期には売上1,158億円へと成長。現在はアジアを中心に13拠点を展開している。

経営体験発表
京谷 忠幸 氏
株式会社シンク・アイ 代表取締役会長/CEO
株式会社ピーエムティー 代表取締役
9歳で父を、16歳で母を亡くし、母に残された借金を背負いながら起業。「人は役割に生き、感謝して死ぬ」と悟り、(一財)若杉アンビシャスの杜を設立して恩送りに努める。半導体・エレクトロニクス分野で、売上100億円規模に迫る企業へと成長させた。

経営体験発表
塚本 健太 氏
コマニー株式会社
代表取締役 社長執行役員
2009年に入社し、経営企画・営業責任者を経て2019年に代表取締役社長執行役員に就任。オフィス空間の設計・パーティションシステムなどを提供し、「企業は世の中の幸福に貢献するために存在する」という理念のもと、サステナビリティを重視した事業を推進している。

経営体験発表
奥田 一博 氏
奥田屋 代表取締役社長
和倉温泉観光協会 会長
2017年、35歳で100年以上続く老舗旅館「奥田屋」の5代目社長に就任。リニューアル直後の能登半島地震で建物が半壊し、営業停止を余儀なくされる。解体・建て替えを経て、2026年7月9日に営業を再開。和倉温泉全体の復興と町づくりに尽力している。

経営体験発表
数馬 嘉一郎 氏
数馬酒造株式会社
代表取締役(5代目蔵元)
2011年、24歳で老舗酒蔵・数馬酒造の代表取締役に就任。「能登を醸す」を理念に、耕作放棄地を再生した酒米づくりや海外展開に挑戦。2024年の能登半島地震で酒蔵が大きな被害を受ける中、全国からの支援に支えられ、復興への歩みを進めている。

座長・ファシリテーター
渕上 智信
株式会社ガイアシステム 代表取締役 統括責任者
NPO法人ユナイテッド・アース 主宰
1987年に創業し、人材紹介・人材教育研修事業を主軸に多角経営を展開。2006年にNPO法人ユナイテッド・アースを設立。災害復興支援では延べ5万人以上のボランティアや団体、企業とともに活動し、「日本社会づくり協議会」も設立した。
OUTLINE
開催概要
名称
能登復興リーダーシップサミット2026
日時
2026年8月19日(水)14:00〜21:00
会場
和倉温泉「日本の宿 のと楽」(石川県七尾市石崎町香島1-14)
主催
能登復興リーダーシップサミット実行委員会(実行委員長:木下徳泰 氏)
後援
七尾市、七尾商工会議所、能登鹿北商工会、一般社団法人七尾青年会議所、能登経済復興広域連携協議会
企画・運営
株式会社ガイアシステム、NPO法人ユナイテッド・アース、七尾市産業振興課
参加者
経営者・個人事業主・行政関係者・地域おこし協力隊など 127名
メディア掲載
北陸中日新聞・北國新聞(2026年8月20日)、読売新聞(2026年9月2日)
NEXT STEP
今後に向けて
2026年8月19日は、そのための大きなスタートとなりました。
これからは、目の前の復旧を支えるだけでなく、地域の皆さまとともに、能登の未来そのものをつくっていく段階に入ります。

THANK YOU
これからも共に、
未来を築く仲間として―
ご登壇いただいた皆さま、ご参加くださった皆さま、輪島から出店に駆けつけてくださった皆さま、本当にありがとうございました。これからも皆さまとご一緒に、新しい能登の未来をつくってまいります。







