介護のカスタマーハラスメント対策とは?介護現場の実態や発生原因も解説!

介護現場では、利用者やその家族からのハラスメント行為、いわゆる「カスハラ」が深刻な問題となっています。身体的暴力、精神的暴力、セクシャルハラスメントなど、さまざまな形で発生するカスハラは、介護スタッフの心身に大きな負担を与え、離職の要因にもなっています。

 

本記事では、介護施設で実際に起きているカスハラの実態を具体例とともに解説します。また、カスハラ発生の背景にある要因を探り、介護スタッフを守るための防止策と対応方法を詳しく紹介します。

従業員をカスタマーハラスメントから守り、職場の心理的安全性や顧客対応力の向上を目指す!

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介護現場におけるカスタマーハラスメントの実態

介護現場におけるカスタマーハラスメントの実態

介護現場では、利用者やその家族から介護スタッフに対するハラスメント行為、いわゆる「カスハラ」が近年、増加傾向にあり非常に深刻な問題となっています。カスハラは介護スタッフの心身に大きな負担を与え、離職につながるケースも少なくありません。

ここでは、カスハラの定義と種類や、事業者に求められるハラスメント対策の重要性について詳しく解説します。

カスタマーハラスメントの基本から詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

カスハラの定義と種類

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客や取引先など、業務上関わる外部の人から受ける嫌がらせや迷惑行為のことを指します。介護現場では、利用者やその家族から介護スタッフに対して行われるハラスメントを特にカスハラと呼んでいます。

カスハラは大きく分けて、身体的暴力、精神的暴力、セクシャルハラスメントの3種類があります。身体的暴力は、殴る、蹴る、つねるなどの行為が該当します。精神的暴力は、大声で怒鳴る、人格を否定する、脅迫するなどの行為を指します。セクシャルハラスメントは、性的な言動や身体的接触を含みます。

事業者に求められるハラスメント対策の重要性

2021年度の介護報酬改定により、全ての介護サービス事業者に対して、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどを含むハラスメント対策が義務付けられました。 これには、カスタマーハラスメントへの対策も含まれており、事業所として防止方針を明確化し、必要な措置を講じることが推奨されています。対策を怠ることは、職員の安全を守る「安全配慮義務」に違反すると見なされる可能性があり、離職率の増加やサービスの質の低下だけでなく、法的なリスクにもつながります。

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カスタマーハラスメント発生の背景と要因

介護現場で発生するカスタマーハラスメント(カスハラ)は、介護スタッフの心身に深刻な影響を及ぼし、離職の要因となっています。カスハラを防止し、職員を保護するためには、その背景にある要因を理解することが不可欠です。

ここでは、カスハラ発生の主な要因として、以下3つに着目し、それぞれの要因がカスハラにつながるメカニズムを解説します。

  • 利用者・家族の感情的ストレス
  • 職員とのコミュニケーションのすれ違い
  • 認知症の進行に伴う行動障害
  • 介護サービスに対する認識のギャップ

利用者・家族の感情的ストレスとコミュニケーションの問題

利用者は、加齢や病気によって「今までできていたことができなくなる」という喪失感や、将来への不安を抱えています。また、在宅で介護を行う家族も、身体的・精神的な負担や経済的な悩み、社会からの孤立感など、大きなストレスを抱えていることが少なくありません。

こうしたストレスの蓄積が、些細なことをきっかけに、職員への攻撃的な言動として現れてしまうことがあります。
介護スタッフは、利用者・家族の心情を理解しつつ、冷静かつ丁寧なコミュニケーションを心がける必要があります。

職員とのコミュニケーションのすれ違い

利用者や家族とのコミュニケーション不足や、認識の行き違いが、不満や不信感を生み、カスタマーハラスメントに発展するケースも少なくありません。

特に、利用者側が伝えたいことをうまく表現できなかったり、職員側が多忙さから十分に話を聞く時間が取れなかったりすると、関係性が悪化しやすくなります。

認知症の進行に伴う行動障害とカスハラの関係

認知症の進行に伴い、記憶障害、見当識障害、判断力の低下などが生じます。これらの症状は、時として、興奮、暴力、徘徊、不潔行為などの行動障害として表れ、介護スタッフへのカスハラにつながることがあります。

認知症による行動障害は、利用者本人の意思とは必ずしも一致しないため、介護スタッフは行動の背景にある原因を見極め、適切な対応を取ることが重要です。行動障害の悪化を防ぐためには、医療的なアプローチと、ケアの工夫を組み合わせた多角的な対策が必要となります。

また、認知症の特性や対応方法について、家族への丁寧な説明を行うことも欠かせません。認知症ケアの難しさを共有し、理解を得ることで、家族からのカスハラを未然に防ぐことにもつながります。

介護サービスに対する認識のギャップ

利用者・家族と介護事業者の間で、提供される介護サービスの内容や範囲について認識のギャップが生じることがあります。過度な要求や、サービス内容への不満が、カスハラの原因となるケースも少なくありません。

こうしたギャップを解消するためには、サービス開始前の十分な説明と合意形成が不可欠です。重要事項説明書等を活用し、提供されるサービスの内容や範囲、料金体系などについて、具体的かつ分かりやすく説明することが求められます。

また、サービス提供中も、利用者・家族との定期的なコミュニケーションを通じて、ニーズの変化や不満の有無を確認し、柔軟に対応していくことが重要です。認識のギャップを放置することなく、早期に解消する努力を怠ってはなりません。

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介護施設で発生するカスハラの具体例

ここでは、実際に介護現場で報告されているカスタマーハラスメントの事例を紹介します。

なお、カスハラの事例について、より詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

利用者からのハラスメント例

利用者本人から行われるカスハラには、以下のようなものがあります。これらの背景には、認知症の症状やストレスが関係している場合もあり、慎重な見極めが必要です。

事例の種類具体的な内容
精神的暴力特定の職員に対し「バカ」「デブ」などの暴言を繰り返す。
気に入らないことがあると、大声で長時間にわたり罵倒を続ける。
セクシャルハラスメント入浴介助中に女性職員の体を執拗に触る。
訪問介護の際にわいせつなビデオを見せたり、性的な関係を要求する。
理不尽な要求決められた時間外のサービス提供を強要する。
個人的な金銭を要求したり、高価な物品をねだったりする。

利用者の家族からのハラスメント例

介護現場のカスハラでは、利用者本人だけでなく、その家族が加害者となるケースもあります。

事例の種類具体的な内容
過剰な要求と暴言契約に含まれないサービス(庭の草むしり、大掃除など)を強要し、
断ると「誠意がない」と長時間電話で罵倒する。
職員への人格否定職員の経歴や家庭環境を詮索し、些細なミスを理由に
「こんな人間に介護を任せられない」と繰り返し人格を否定する。
威圧的な態度面会時間外に押しかけて職員を長時間拘束し自説を述べ続ける。
事業所の方針に従わず、他の利用者や職員の前で大声を出す。

介護施設におけるカスハラ防止策と対応方法

介護施設におけるカスハラ防止策と対応方法

ここでは、介護施設における、職員保護に欠かせないカスハラ防止策と具体的な対応方法について解説していきます。

またカスハラ防止策について、具体的な手順まで更に詳しく知りたい方はこちらを参照ください。

カスハラ防止方針の策定と職員への周知徹底

カスハラ防止の第一歩は、明確な方針を策定し、全職員に周知徹底することです。方針には、カスハラの定義、防止に向けた組織の姿勢、具体的な対応手順などを盛り込みます。

策定した方針は、職員会議や研修等で繰り返し説明し、全員が理解・実践できるようにしましょう。また、方針を文書化し、いつでも確認できるようにすることも重要です。

防止方針の策定にあたっては、以下の点に留意してください。

  • カスハラの具体例を示し、認識を共有する
  • ゼロトレランスの姿勢を明確にする
  • 職員の安全確保を最優先とする
  • 報告・相談体制を整備する

スタッフ向け研修の実施とロールプレイングの活用

カスハラ防止には、スタッフの理解と適切な対応スキルが不可欠です。定期的な研修を実施し、カスハラの背景にある要因や対応方法を学ぶ機会を設けましょう。

研修では、認知症による行動心理症状(BPSD)への理解を深めることも重要です。BPSDが原因となるカスハラもあるため、医療的知識を身につけ、適切なケアを提供できるようにします。

さらに、ロールプレイングを活用し、実際の場面を想定した演習を行うことをおすすめします。具体的な言動を交えながら対応を練習することで、スタッフの実践的なスキルを高めることができます。ロールプレイングの例としては、以下のようなものが考えられます。

  • 暴言を吐く利用者への対応
  • 過度な要求をする家族への説明
  • セクハラ発言への毅然とした態度
  • 他のスタッフへの協力要請

そもそもカスタマーハラスメント研修とは何かを知りたい方はこちらを参考にしてください。

従業員をクレーマーから守り、組織の対応力向上を目指す

従業員に大きなストレスを与え、離職の原因にもなっているカスタマーハラスメント。個人の能力では解決できないケースも多く、組織が一体となってリスク回避することが必要です。

本研修はカスタマーハラスメントの理解と対応力を強化することを目的に、コミュニケーションスキルを学び、実践的なグループワークを通じて具体的な対策を考えます。

利用者・家族への説明と同意書の取得

利用者やその家族に対しても、カスハラ防止に向けた施設の方針を明確に説明しておくことが大切です。サービス利用開始時や契約更新時に、重要事項説明書等でカスハラが許されない行為であることを伝えましょう。

また、あらかじめ同意書を取得しておくことで、カスハラ発生時の対応がスムーズになります。同意書には、以下のような内容を盛り込むとよいでしょう。

  • カスハラの具体例を示し、認識を共有する
  • ゼロトレランスの姿勢を明確にする
  • 職員の安全確保を最優先とする
  • 報告・相談体制を整備する

説明の際は、利用者や家族の立場に立って、丁寧かつ誠実に対応することを心がけてください。
カスハラ防止は、信頼関係の構築なくしては成り立ちません。

相談窓口の設置

職員が「これはハラスメントかもしれない」と感じた時に、一人で悩まずに気軽に相談できる窓口を設置します。相談担当者を決め、プライバシーが守られる環境を整えることで、問題の早期発見と深刻化の防止につながります。相談があった場合は、相談者の不利益にならないよう配慮し、迅速に対応することが求められます

外部の関係機関との協力体制を構築

事業所内だけでの解決が困難なケースに備え、日頃から地域の包括支援センター、医療機関、警察、弁護士といった外部の専門機関と連携できる体制を整えておくことも大切です。専門的な見地からのアドバイスや協力を得ることで、より適切で効果的な対応が可能になります。

まとめ

介護現場で発生するカスタマーハラスメント(カスハラ)は、利用者やその家族から介護スタッフに向けられる身体的・精神的暴力やセクシャルハラスメントです。これらのハラスメントは、介護スタッフの心身に深刻な影響を与え、離職の要因にもなっています。

利用者と介護スタッフの双方の立場に立った丁寧な対応を心がけることが、カスハラのない安心・安全な介護環境の実現につながります。介護現場の職場環境改善に向けて、関係者が一丸となって取り組んでいくことが重要です。

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