【職場のハラスメントの種類・一覧】あなたも気を付けて!こんなこともハラスメント?
昨今、職場のハラスメントに関するご相談が急増しています。
多様な働き方が広がる現代において、ハラスメントの認識も変化しており、「これってハラスメントだったの?」と気づかないうちに加害者になってしまうケースも少なくありません。ハラスメントは、職場環境を悪化させ、個人やチームのパフォーマンスに大きな影響を与えてしまいます。

職場における代表的なハラスメントの種類をご紹介します。「うちの会社は大丈夫」と思っている方も、ぜひ一度、ご自身の言動や職場の状況を振り返ってみてください。
職場のハラスメント種類を一覧化

近年、職場でのハラスメントは多様化しており、その形態も多岐にわたります。
例えば、性別や人種、年齢などに基づく差別的な言動、いじめや脅迫、過度な監視やプライバシーの侵害などがあります。これらの行為は、職場の士気を低下させ、精神的な健康問題を引き起こす可能性があります。ハラスメントの種類とその特徴を理解し、適切に対処することが不可欠です。
権力・地位を利用したハラスメント
- パワーハラスメント(パワハラ)
職務上の地位や人間関係などの優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える行為、または就業環境を悪化させる行為。 - モラルハラスメント(モラハラ)
倫理や道徳に反する精神的な嫌がらせやいじめで、巧妙かつ継続的に行われることで相手を精神的に追い詰める傾向があります。 - リストラハラスメント(リスハラ):
リストラを目的として、退職勧奨を装い、過度なノルマや閑職への異動、嫌がらせによって退職に追い込むような行為。 - 内定者ハラスメント
内定者に対して、精神的負担を与えるような言動や、過度な研修・課題、他社への就職活動を妨害するような行為も含まれます。 - 派遣ハラスメント
派遣社員に対する差別的な扱い、正当な理由のない契約解除、業務外の雑用や責任の押し付けなど。
性別・性的指向・妊娠出産に関するハラスメント
- セクシュアルハラスメント(セクハラ)
意に反する性的な言動により、就業環境を害する行為。
対価型(昇進や解雇と引き換えに性的関係を求めるなど)と環境型(職場での性的な冗談や画像の掲示など)に大別されます。 - マタニティハラスメント(マタハラ)
妊娠・出産、育児に関する制度利用を理由に、解雇、減給、降格、不当な配置転換などの不利益な扱いをしたり、嫌がらせをしたりする行為。 - パタニティハラスメント(パタハラ)
男性が育児休業などを取得しようとする際に、制度利用を妨害したり、男性であることに起因する偏見で嫌がらせをする行為。 - SOGIハラスメント(ソジハラ)
性的指向(Sexual Orientation)や性自認(Gender Identity)に関する差別的な言動、からかい、排除、不当な扱い。 - アウティング
本人の同意なく、性的指向や性自認を他者に暴露すること。
これはプライバシー侵害にあたり、SOGIハラスメントの中でも特に深刻な問題とされています。 - ジェンダーハラスメント
「男だから〇〇」「女だから△△」といった性別に基づいた固定観念や偏見による差別的な言動や、役割の押し付け。
介護・病気・障害に関するハラスメント
- ケアハラスメント(ケアハラ)
介護を理由に、不利益な扱い、不当な配置転換、精神的な嫌がらせをする行為。 - 時短ハラスメント(時ハラ)
育児や介護などで時短勤務をしている人に対し、業務量の調整をせず過度な負担をかけたり、責任のある仕事を任せないなどの不当な扱いをしたりする行為。 - 病気ハラスメント
疾病や治療を理由に、不利益な扱い、退職の強要、病状を揶揄するなどの嫌がらせをする行為。 - 障害ハラスメント
障害を理由に、差別的な言動、嫌がらせ、不当な配置転換、合理的配慮をしないなどの行為。
差別の意図を含むハラスメント
- エイジハラスメント
年齢を理由に、「もう年だから」「まだ若いから」といった能力や経験を不当に低く評価したり、特定の業務から外したりする行為。 - レイシャルハラスメント
人種や民族、国籍を理由に、差別的な言動、からかい、侮辱、特定の集団からの排除など。 - 学歴ハラスメント
学歴を理由に、能力を過小評価したり、出世を妨害したり、嘲笑したりする行為。 - キャリアハラスメント
職務経歴やキャリアの選択(例:特定の部署への異動希望、独立志向など)を理由に、不当な扱いをしたり、嫌がらせをしたりする行為。 - 宗教ハラスメント
特定の宗教や信仰を理由に、差別的な言動、布教の強要、信教の自由を侵害する行為。 - 出身地ハラスメント
出身地を理由に、差別的な言動、からかい、偏見に基づく不当な扱い。 - 国籍ハラスメント
国籍を理由に、差別的な言動や扱い、外国人であることを揶揄する行為。
個人の特性や行動に関するハラスメント
- 不機嫌ハラスメント
不機嫌な態度や言動(例:舌打ち、ため息、無視など)で周囲に精神的な圧力をかけ、萎縮させたり、業務に支障をきたさせたりする行為。 - ロジカルハラスメント(ロジハラ)
正論を振りかざして相手を論破し、感情や状況を無視して追い詰めることで、精神的な苦痛を与える行為。 - スメルハラスメント(スメハラ)
体臭、口臭、香水、喫煙による臭いなど、臭いによって周囲に不快感を与え、業務に支障をきたさせる行為。 - リモートハラスメント(リモハラ)
リモートワーク環境下で、不必要な監視、過度な連絡、プライベートへの干渉、チャットでの高圧的な態度など。 - パーソナルハラスメント
個人の性格、能力、容姿、趣味嗜好、服装、ライフスタイルなどを否定したり、中傷したり、見下したりする行為。 - アルコールハラスメント(アルハラ)
飲酒の強要、飲めない人への嫌がらせ、酔った勢いでの暴言や迷惑行為。 - テクノハラスメント(テクハラ)
IT機器の操作が苦手な人に対して、能力不足を揶揄したり、サポートを拒否したり、業務に必要な情報共有を怠るなどの嫌がらせ。 - ソーシャルハラスメント(ソーハラ)
SNSなどでの誹謗中傷、プライベート情報の無断公開、強制的なフレンド申請、過度な監視など。 - フードハラスメント(フーハラ)
食事の好みや量を強要したり、食べ残しを批判したり、会食でのマナーを過度に指摘する行為。 - ファッションハラスメント
服装や髪型、メイクなど、個人のファッションセンスを否定したり、会社の規定以上に厳しく指導したりする行為。 - プライバシーハラスメント
個人のプライベートな情報をしつこく詮索したり、同意なく他者に漏らしたり、盗撮・盗聴する行為。 - コミュニケーションハラスメント(コミハラ)
必要最低限のコミュニケーションを避ける、無視する、特定の人物だけ情報共有から外すなど、コミュニケーションを阻害する行為。
その他のハラスメント
- カスタマーハラスメント(カスハラ)
顧客からの土下座要求、長時間の拘束、暴言、暴力、不当な金銭要求など、常識の範囲を超える悪質な嫌がらせ。 - セカンドハラスメント
ハラスメントを相談・告発した被害者に対して、「大げさだ」「嘘だ」「お前にも非がある」などと責めたり、無視したりする二次的な嫌がらせ。 - アカデミックハラスメント(アカハラ)
教育・研究機関において、教員などが学生や他の教職員に対して行う、研究の妨害、人格否定、単位や評価に関する不当な扱いなど。 - ハラスメントハラスメント(ハラハラ)
ハラスメントに関する相談や注意を受けた側が、「それはハラスメントだ」と逆に訴え返すことで、本質的な議論や解決を妨げる行為。 - デジタルハラスメント
デジタルツール(PC、スマホ、メール、チャットなど)を通じて行われる嫌がらせ全般。過度な監視、不必要な連絡、返信の強要などが含まれます。 - メンタルハラスメント
精神的な攻撃によって、相手に苦痛を与え、ストレスや不安、うつ状態などを引き起こす行為。これはパワハラやモラハラの一部としても現れることがあります。
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職場のハラスメントの詳細解説
1. パワーハラスメント(パワハラ)
「パワハラ」という言葉は広く知られていますが、その具体的な内容を正しく理解していますか?
パワーハラスメントとは、職場において優位な立場にある者が、業務上必要とされる範囲を超えて、言動によって労働者の就業環境を著しく阻害する行為を指します。
具体的には、以下の6つの類型が代表的なパワハラに該当します。

- 身体的な攻撃:身体への直接的な暴行や、物を投げつけるなどの行為
- 精神的な攻撃:脅迫、名誉毀損、侮辱、人格を否定するようなひどい暴言など、精神的に追い詰める言動
- 人間関係からの切り離し:職場内で特定の人物を無視したり、仲間外れにしたり、仕事を与えずに孤立させる行為
- 過大な要求:業務とは明らかに無関係なことや、遂行が不可能な量の仕事を強制したり、業務を妨害したりする行為
- 過小な要求:業務上の合理性なく、その人の能力や経験とはかけ離れた程度の低い仕事を命じたり、全く仕事を与えない行為
- 個人の侵害:業務と関連性のない私的な事柄に過度に立ち入る行為
これらの行為は、受け手の心身に大きな影響を与え、職場の健全な環境を損なう可能性があります。
ご自身の言動や職場の状況を振り返る際に、ぜひご参考にしてください。
2. セクシュアルハラスメント(セクハラ)
セクハラは、職場における性的な言動によって、労働者の就業環境が害されたり、労働条件に不利益を受けたりすることです。相手の意図に関わらず、受け手が不快に感じたらセクハラとなる可能性があります。
具体的には、以下のような行為がセクハラにあたります。
- 性的な冗談や発言:性的な内容の冗談を言ったり、性的な経験について聞いたりする
- 身体への不必要な接触:肩を抱く、体に触る、無理に食事に誘うなど、業務と関係なく相手の体に触れたり、不必要な接触を求めたりする
- わいせつな写真や動画を見せる:性的な内容の画像や動画を、相手の意思に反して見せたり、送りつけたりする
- 性的な噂を流す:特定の人の性的な関係やプライベートについて、根拠のない噂を職場内で広める
- 性的な関係を強要する:職務上の立場を利用して、性的な関係を無理強いする
セクハラは、被害者の尊厳を傷つけ、職場の雰囲気を著しく悪化させる行為です。お互いが気持ちよく働ける職場にするためにも、性的な言動には十分注意しましょう。
3. マタニティハラスメント(マタハラ)
妊娠・出産を理由とした嫌がらせは、マタハラに該当します。
女性だけでなく、育児休業を取得しようとする男性に対する嫌がらせも含まれます。
- 妊娠を理由とした解雇や降格
- つわりや体調不良への心ない発言
- 育児休業の取得を妨害する
- 時短勤務への嫌がらせ
4. ケアハラスメント(ケアハラ)
介護を理由としたハラスメントは「ケアハラ」と呼ばれ、近年注目されています。
介護離職を防ぐためにも、企業として理解を深める必要があります。
- 介護休暇の取得を妨害する
- 介護を理由とした配置転換や降格
- 介護中の従業員への心ない発言
5. モラルハラスメント(モラハラ)
モラハラは、精神的な攻撃によって相手の心を傷つけ、尊厳を侵害する行為です。
職場で起こるモラハラは、無視や冷淡な態度、人格否定、悪口、執拗なミス指摘など、巧妙で気づかれにくいケースもあります。
- 無視や冷淡な態度をとり続ける
- 人格を否定するような発言
- 悪口や陰口を言いふらす
- 些細なミスを執拗に責める
6. ロジカルハラスメント(ロジハラ)
正論を振りかざし、相手の感情や状況を無視して追い詰めるのがロジハラです。
「あなたの言っていることは論理的ではない」などと、正論を武器に相手を攻撃し、精神的に追い詰める行為です。
- 正論を盾に、感情的な側面や背景を一切考慮しない
- 相手が反論できない状況で一方的に正論を押し付ける
- 論理的な間違いを執拗に指摘し、相手を萎縮させる
7. 不機嫌ハラスメント
自分の不機嫌な態度を周囲に露骨に示すことで、職場の雰囲気を悪くし、他者に精神的な負担を与えるのが不機嫌ハラスメントです。
明確な攻撃ではないため気づきにくいですが、職場全体の生産性や士気を低下させる要因となります。
- ため息を頻繁につく
- 睨みつける、舌打ちをする
- 無視や冷たい態度を取る
- 返事をしない、短い返事しかしない
8. エイジハラスメント
年齢を理由に、能力や経験を不当に評価したり、差別的な言動を行うのがエイジハラスメントです。
若すぎる、年を取りすぎているといった理由で、昇進・降格、配置転換などで不利益を被らせたり、心ない発言をしたりする行為です。
- 「もう歳だから」「若いのに何も知らない」といった発言
- 年齢を理由にした仕事の割り振りや昇進の機会の制限
- 定年が近い従業員への退職を促すような言動
9. アカデミックハラスメント(アカハラ)
教育や研究の場で、教員が学生や研究員に対して、その地位や権力を用いて嫌がらせを行うのがアカハラです。
大学や研究機関だけでなく、企業内の研修部門などでも起こりうる可能性があります。
- 論文や研究テーマに対する不当な妨害
- 研究費や奨学金の支給を不当に制限する
- 卒業や進級を不当に妨害する
- 学業や研究と関係のない私的な雑用を強要する
10. セカンドハラスメント
ハラスメント被害を相談した人に対して、相談を受けた側や周囲が不適切な対応を取ることで、さらに精神的な苦痛を与えるのがセカンドハラスメントです。
「大げさだ」「あなたにも非がある」といった心ない言葉や、相談した事実を軽んじる態度などが該当します。
- 被害を訴えたにもかかわらず、その内容を信じない
- 「気にしすぎだ」「我慢が足りない」などと被害者に責任を押し付ける
- 相談内容を周囲に言いふらす
- 相談したことによる不利益な扱い(配置転換、降格など)
11. レイシャルハラスメント
人種や民族、国籍などを理由に、差別的な言動や嫌がらせを行うのがレイシャルハラスメントです。
出自に関わるからかいや侮辱、差別的な扱いなどが該当します。
- 人種や民族的背景をからかう、侮辱する発言
- 特定の国籍の人を排除するような言動
- 出身地や文化、慣習を嘲笑する
- 採用や昇進において人種を理由に不公平な扱いをする
職場のモヤモヤ、それってハラスメントかも?
なんだか職場の空気が重いな、特定の誰かがいつもつらそうだな…と感じたことはありませんか?
実は、日常のちょっとした言動が、知らないうちにハラスメントになっていることがあります。
「これくらい、大丈夫でしょ?」「まさか相手が気にするなんて」そう思っていても、受け取る側の気持ちが一番大切なんです。悪気がなくても、相手を傷つけてしまうのがハラスメントの怖いところ。
健全で、誰もが気持ちよく働ける職場を作るには、私たち一人ひとりが「これはハラスメントになるかも?」というアンテナを持つことが何よりも重要です。
ハラスメントについて正しく知ることは、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。そして、それが会社の雰囲気を良くし、みんなが安心して働ける「いい職場」を育む土台になるんです。日頃から「何か困ってることない?」と声をかけ合ったり、気軽に意見を言える場があったりすれば、小さなモヤモヤが大きな問題になる前に気づくことができます。
そうやってお互いを信頼し合える関係を築いていけば、職場の雰囲気はもっと良くなりますよね。
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ハラスメントのチェックリスト
職場で「これってハラスメント?」と感じることはありませんか? 無意識のうちに誰かを傷つけたり、自分自身が不快な思いをしたりしていないか、このチェックリストで確認してみましょう。ハラスメントは多岐にわたりますが、ここでは特に注意すべき代表的な言動をまとめました。
パワーハラスメント(パワハラ)関連のチェック項目
- □ 部下や後輩に対し、必要以上に厳しい指導や叱責をしていませんか?
- □ 業務上必要のない、または達成不可能な過度なノルマや業務量を押し付けていませんか?
- □ 些細なミスでも人格を否定するような言葉を使っていませんか?
- □ 特定の部下や同僚を無視したり、仲間外れにしたりする行為が見られませんか?
- □ 業務とは関係のない私的な用事を強要していませんか?
- □ 誰もが嫌がるような不当な業務(草むしり、掃除など)を命じていませんか?
- □ 業務に必要な情報共有を意図的に行わないことがありますか?
- □ 退職を促すような嫌がらせや、不当な降格・異動をしていませんか?
セクシュアルハラスメント(セクハラ)関連のチェック項目
- □ 相手が嫌がっているのに、性的な冗談やからかいを言っていませんか?
- □ 体型や服装など、身体的な特徴について不必要に言及していませんか?
- □ 職場で性的な画像や動画を見せたり、話題にしたりしていませんか?
- □ 飲み会などで、異性に対する不適切なボディタッチや接触をしていませんか?
- □ 相手の意に反して、食事やデートにしつこく誘っていませんか?
- □ 個人の性的指向や性自認について、許可なく他人に話したり、からかったりしていませんか?
その他のハラスメント関連のチェック項目
- □ 妊娠、出産、育児、介護を理由に、不当な配置転換や降格、退職勧奨をしていませんか?
- □ 育児や介護による時短勤務を理由に、嫌味を言ったり、不利益な扱いをしていませんか?
- □ 加齢を理由に、能力や意欲を決めつけたり、不当に扱ったりしていませんか?
- □ 人種、国籍、出身地、学歴、身体的な特徴などを理由に、差別的な言動や嫌がらせをしていませんか?
- □ 不機嫌な態度や舌打ちなどで、周囲に威圧感や不快感を与えていませんか?
- □ 自分の正論を盾に、相手の感情を無視して徹底的に追い詰めるような話し方をしていませんか?
- □ 個人の体臭、口臭、香水などについて、相手に不快感を与えるレベルで配慮を欠いていませんか?
- □ リモートワーク中に、過度な監視や頻繁な連絡で相手を不必要に束縛していませんか?
- □ SNSなどで、同僚のプライベートな情報を無断で公開したり、誹謗中傷をしたりしていませんか?
- □ 病気や障害を理由に、業務から不当に排除したり、差別的な言動をしていませんか?
- □ ハラスメントの相談をしてきた人に対し、「大げさだ」「お前にも悪いところがある」などと二次的な精神的負担を与えていませんか?
もし一つでも当てはまる項目があったら…?
もし1つでも、あてはまる項目があったら、それはハラスメントに該当する可能性があります。
ハラスメントは、個人の尊厳を傷つけ、職場全体の生産性や士気を低下させる深刻な問題です。
「これくらいは大丈夫だろう」「悪気はなかった」と思っていても、受け取る側がどう感じるかが重要です。お互いを尊重し、快適に働ける職場環境を作るために、私たち一人ひとりがハラスメントへの意識を高めていきましょう。
ハラスメント対応の事例(ケーススタディと防止方法)

ここでは、職場で実際に起こりうるハラスメントの事例を3つご紹介します。それぞれの事例がどのようなハラスメントに当たるのか、何が問題で、どう解決し、どのような結果になったのかを簡潔に解説します。
【事例1】パワハラ(パワーハラスメント)
- ハラスメント内容
-
Aさん(部下)は、上司のBさんから日常的に大勢の前で人格否定されるような叱責を受けていました。「お前は本当に使えないな」「何度言ってもわからないのか、給料泥棒め」といった暴言が頻繁にありました。また、Aさんが体調不良で早退を申し出た際も、「仮病だろう。根性がない」と取り合ってもらえず、無理な残業を強いられることもありました。
- その結果どんな状態になったか?
-
Aさんは毎朝会社に行くのが辛くなり、不眠や食欲不振といった症状が現れました。集中力が低下し、業務効率も悪化。最終的にはうつ病と診断され、休職せざるを得ない状況に陥りました。職場の雰囲気も悪くなり、他の社員もBさんとの関わりを避けるようになりました。
- 解決方法
-
Aさんは、まず会社のハラスメント相談窓口に相談しました。相談窓口は事実確認を行い、Bさんへの聞き取り調査を実施。会社はBさんの行為がパワハラに該当すると判断し、Bさんには厳重注意とハラスメント研修の受講を命じました。また、Aさんには休職期間中のサポートと復職後の配置転換を提案。Aさんの同意を得て、Bさんから離れた部署への異動が決定し、安心して治療に専念できる環境が整いました。
【事例2】セクハラ(セクシュアルハラスメント)
- ハラスメント内容
-
Cさん(女性社員)は、部署の飲み会で同僚のDさんから「Cさんは彼氏いるの?いないなら今度二人で飲みにいこうよ」「胸元がセクシーだね」などと、プライベートなことや容姿に関する発言を繰り返し言われ、不快に感じていました。Dさんは他にも、Cさんの肩や背中を触るなど、不必要なボディタッチも頻繁に行っていました。
- その結果どんな状態になったか?
-
CさんはDさんとの接触を避けるようになり、飲み会や部署内の交流イベントへの参加もためらうようになりました。職場に行くこと自体がストレスになり、精神的な苦痛を感じるようになりました。
Dさんへの不信感が募り、業務上のコミュニケーションも円滑に行えなくなりました。 - 解決方法
-
Cさんは信頼できる同僚に相談した後、人事部に設けられたセクハラ相談窓口に申し出ました。
人事部はCさんからの聞き取りとDさんからの事情聴取を行い、Dさんの行為がセクハラに該当すると認定。
Dさんには厳重注意と会社主催のハラスメント研修の受講が義務付けられました。
また、DさんとCさんの業務上の接触を最小限にするための配置の見直しも検討され、Cさんが安心して働ける環境を回復するための措置が取られました。
【事例3】ケアハラ(ケアハラスメント)
- ハラスメント内容
-
Eさん(男性社員)は、妻の出産に伴い育児休業の取得を上司のFさんに相談しました。しかしFさんは「男が育休なんて取るな」「君が休んだら誰がこの仕事をやるんだ、他の社員に迷惑がかかる」などと、何度も取得を妨害する発言をしました。Eさんが育休取得後も、FさんはEさんに対して「育児は奥さんに任せればいいだろう」と繰り返し発言し、復帰後の重要な会議からEさんを意図的に外すなどの行為も見られました。
- その結果どんな状態になったか?
-
Eさんは育児休業の取得自体に罪悪感を感じるようになり、精神的に追い詰められました。
復帰後も、Fさんからの嫌がらせや冷遇が続いたため、仕事へのモチベーションが著しく低下しました。
また、家庭と仕事の両立に大きなストレスを感じ、心身ともに疲弊してしまいました。 - 解決方法
-
Eさんは、まず会社のコンプライアンス窓口に連絡しました。
コンプライアンス窓口は、育児・介護休業に関する会社の規定とFさんの言動を照らし合わせ、Fさんの行為がケアハラに該当すると判断。
Fさんに対しては管理職としての適切な指導と、育児・介護休業制度に関する再研修が実施されました。Eさんには、今後同様の事態が起こらないよう、部署内で協力を促すこと、および困った際には再度相談できる体制が保証されました。
【事例4】不機嫌ハラスメント
- ハラスメント内容
-
Gさん(若手社員)の部署には、Hさんというベテラン社員がいました。
Hさんは気に入らないことがあると舌打ちをしたり、ため息を大きくついたり、挨拶を無視したりと、露骨に不機嫌な態度を示しました。特に、Gさんが質問をしたり、仕事でミスをしたりすると、Hさんは無言で書類を投げつけたり、睨みつけたりするため、GさんはHさんに話しかけること自体が恐怖になっていました。
- その結果どんな状態になったか?
-
GさんはHさん(ベテラン社員)の顔色を常に窺うようになり、精神的な緊張状態が続きました。質問や相談をためらうようになり、業務効率が低下。
他の社員もHさんの不機嫌な態度を恐れ、部署全体のコミュニケーションが滞り、雰囲気が悪化しました。Gさんは職場にいることが苦痛で、出社拒否に近い状態に陥りそうになりました。
- 解決方法
-
Gさんは、部署の管理職に相談しました。管理職はHさんの普段の行動を把握しており、他の社員からも同様の懸念が寄せられていることを確認。
管理職はHさんに対し、個別の面談を実施し、自身の言動が周囲に与える影響について具体的に指摘しました。
また、Hさんのストレス軽減のために業務内容の見直しや、アンガーマネジメント研修への参加を促しました。さらに、部署全体で「気持ちの良いコミュニケーション」を意識するための勉強会を開催し、定期的な1on1ミーティングを通じて、Hさんの行動改善をサポートしていく体制を構築しました。
これらの事例は、あくまで一般的な例ですが、ハラスメントは非常に多様な形で発生します。職場でのハラスメントに直面した場合、一人で抱え込まず、信頼できる人や会社の相談窓口、または外部機関に相談することが重要です。
知っておくべき「グレーゾーン」事例とその判断基準
職場では、明確なハラスメントだけでなく、「グレーゾーン」とされる行動も多く存在します。
例えば、冗談のつもりで言った言葉が相手を不快にさせた場合、それはハラスメントと見なされる可能性があります。
このような事例は、個人の意識や価値観の違いによって受け取り方が変わるため、注意が必要です。他にも、業務上の指導が行き過ぎて精神的な負担となるケースや、仕事の成果を過小評価してしまう状況なども一例です。これらの行動は、意図的でない場合でも、職場の風通しを悪化させる要因となる可能性があります。
グレーゾーンの問題を未然に防ぐには、日常的なコミュニケーションとフィードバックを通じて、職場全体での認識を統一し、各自が注意深く行動することが求められます。上司や同僚と話し合い、明確な基準を設けることで、曖昧な状況を回避する努力が重要です。
ハラスメントの報告手順と対応方法

ハラスメントが起きた時に一番大切なのは、被害者が安心して、そして迅速に行動できる環境を整えることです。会社として、そのための仕組みをしっかり作っておきましょう。
ハラスメントの【報告手順】
- まずは相談窓口へ:
- 社内にあるハラスメント相談窓口を利用しましょう。
人事部や総務部、コンプライアンス部門などに設置されていることが多いです。 - もし社内の窓口では相談しにくいと感じるなら、社外の専門家(弁護士やハラスメント専門の相談機関など)に相談することも検討できます。
- 大切なのは、あなたのプライバシーが守られることです。相談内容は秘密にされますので、安心して話してください。
- 社内にあるハラスメント相談窓口を利用しましょう。
- 事実を記録する
- いつ、どこで、誰に、どんなハラスメントを受けたのか、できるだけ具体的に記録しておきましょう。
日時、場所、言われたことやされたこと、その時の状況、目撃者の有無など、詳細なメモは後々の調査に役立ちます。
- いつ、どこで、誰に、どんなハラスメントを受けたのか、できるだけ具体的に記録しておきましょう。
- 証拠を集める(可能であれば)
- メールやチャットの履歴、録音データ、写真など、もしあれば証拠として保管しておきましょう。
無理にする必要はありませんが、証拠があると事実確認がスムーズに進みます。
- メールやチャットの履歴、録音データ、写真など、もしあれば証拠として保管しておきましょう。
会社としての対応手順
会社は、ハラスメントの報告を受けたら、以下のステップで対応を進めます。
- 迅速な初期対応
相談を受けたら、すぐに被害者の安全を確保し、さらなる被害が起きないように配慮します。
被害者の話に真摯に耳を傾け、精神的なケアも必要であれば手配します。 - 公平な事実確認と調査
報告された内容に基づき、当事者や関係者への聞き取り調査を行います。この際も、関係者のプライバシーに最大限配慮します。
偏りのない公平な立場で事実を確認し、ハラスメントがあったのかどうかを判断します。 - 適切な対処と処分
ハラスメントの事実が確認された場合は、加害者に対して厳正な処分を行います。就業規則に基づき、注意、異動、減給、懲戒処分など、状況に応じた対応を取ります。
再発防止のための研修受講などを命じることもあります。 - 被害者のフォローアップ
ハラスメント解決後も、被害者が安心して職場に戻れるように継続的にサポートします。
必要に応じて、配置転換や休職からの復帰支援、カウンセリングなどのきめ細やかな配慮を行います。 - 再発防止と意識向上:
会社全体でハラスメントは許さないという強いメッセージを発信し、ハラスメントの根絶を目指します。
全社員を対象とした定期的な研修を実施し、ハラスメントへの理解を深め、一人ひとりの意識を高めます。
管理職は特に、ハラスメントを見過ごさないよう、またハラスメントを起こさせないよう、リーダーシップを発揮することが求められます。


まとめ
上記に挙げたハラスメントはほんの一部に過ぎません。時代とともに多様化するハラスメントに対応するためには、継続的な学習と職場の意識改革が重要です。
当社のハラスメント対策研修では、ハラスメントの基礎知識から、具体的な事例、発生時の対応策まで、貴社の状況に合わせた実践的な内容をご提供しています。
こんなに多くのハラスメントがある中で、どこから手をつけて良いか迷っていませんか? まずは社内研修でハラスメントの基礎的な内容を学び、すべての従業員が安心して働ける職場づくりを目指しませんか?
貴社の課題に合わせた最適な研修プランをご提案させていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
ハラスメント研修カリキュラム
従業員をクレーマーから守り、組織の対応力向上を目指す!
カスタマーハラスメント研修|対応力強化

従業員に大きなストレスを与え、離職の原因にもなっているカスタマーハラスメント。個人の能力では解決できないケースも多く、組織が一体となってリスク回避することが必要です。
本研修はカスタマーハラスメントの理解と対応力を強化することを目的に、コミュニケーションスキルを学び、実践的なグループワークを通じて具体的な対策を考えます。
ハラスメントの未然防止、環境改善を目指す!
ハラスメント研修 |パワハラ防止対策

セクハラ、パワハラ、マタハラなど様々なハラスメントの定義や具体例、日常に潜むハラスメントリスクについて学びます。
「グレーゾーンと思われがちな事例紹介」やケーススタディを通じてハラスメントの識別方法を習得し、グループディスカッションで防止策を考案します。また、ハラスメントが起きた際の適切な対応方法や報告手順を身に着けます。
心のメンテナンス手法を習得
メンタルヘルス研修|ストレスと上手に向き合うには

メンタルヘルスに対する知識を身につけ、自分の心の状態を確認し、自らに合ったメンテナンス手法を習得していきます。
・メンタルヘルス研修 全従業員対象 基礎編
・メンタルヘルス研修 役職対象 ラインケア編
・メンタルヘルス研修 全従業員対象 セルフケア編
上記を事例に、内容別・対象別に様々な研修カリキュラムを取り揃えております。
ハラスメントコラム一覧
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職場のハラスメント対応マニュアル|社員と企業を守るために今すべきこと
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【実例で学ぶ】職場のハラスメント事例と防止対策|研修で未然に防ぐ方法とは?
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【職場のハラスメントの種類・一覧】あなたも気を付けて!こんなこともハラスメント?
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教育現場でのモンスターペアレント対処法。「感情の渦」に巻き込まれないクレーム対応術、効果的な研修法は?
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モンスターペアレントとは?教育現場の現状や事例、対策について解説
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カスタマーハラスメント研修とは?研修内容やカスハラを防ぐための取り組み
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ハラスメント研修の義務化について!4つの義務と研修の種類、実施方法を紹介
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【パワハラ防止法対応】おすすめハラスメント研修会社を比較!失敗しない選び方とは?
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ハラスメント研修の料金はどれくらい?タイプ別の相場や研修を選ぶポイント
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飲食店のカスハラ対策|事例で学ぶ顧客対応と研修のすすめ
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病院でのカスハラ事例|医療現場でのリスク対策と研修の必要性
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増加する介護現場のカスハラ|実際の事例と職員保護のための具体策を紹介
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公務員はカスハラにどう対応すべき? 自治体の実例と職員を守る対策法
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コールセンターでのカスハラ対策。従業員を守る対策とトレーニング方法を徹底解説
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カスハラ対策が義務化に!厚労省の法改正案を受けた企業対応ガイド
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カスタマーハラスメント(カスハラ)とは?クレームの違いは?基準と線引き、事例を紹介
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現場で役立つカスハラ対応法―企業が取るべきステップと効果的な研修法は?
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カスハラ事例とその対応策―従業員を守るための効果的な方法とは?
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介護業界特化のハラスメント研修|人事が押さえるべきカスハラ・パワハラ・セクハラ防止対策
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セクハラ防止研修とは?重要性・研修内容・費用について徹底解説
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管理職がハラスメント研修を受ける重要性は?押さえておきたいポイントを紹介
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ハラスメント防止研修の目的とは?成功させるコツを紹介
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メンタルヘルス研修|研修実施の目的・社員に合う研修のポイントとは?
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アンガーマネジメント研修の目的・効果・カリキュラム例を紹介