部下への指導例文15選|場面別フレーズと伝え方のコツ

部下への指導例文とは、上司が部下の行動改善や成長促進を目的として使う具体的な声かけフレーズのことです。

 

日常の声かけから改善要求、褒め方まで、場面別に使える部下への指導例文を15パターンご紹介します。

さらに、各場面に「なぜその言い方が伝わるのか」のロジック(原則)を添えました。

読み終わるころには、例文がない場面でも自分の言葉で応用できるイメージが持てるはずです。

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部下への指導例文が求められる背景

部下への指導例文が求められる背景には、ハラスメント意識の高まりと、管理職の指導スキル不足という2つの要因があります。

背景具体的な課題影響
ハラスメント意識の高まり指導のつもりがパワハラと受け取られるリスク指導を避ける上司が増加
プレイングマネージャー化指導に時間を割く余裕がない場当たり的な注意に偏りがち
世代間コミュニケーションの変化叱責型の指導が通用しにくい信頼関係構築に新しいアプローチが必要

「注意したいけど、パワハラと受け取られないか不安」「褒めたいけど、わざとらしくならないか」

——管理職としてこうした悩みを抱えてはいませんか。

厚生労働省の令和5年度「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、過去3年間にパワーハラスメントを受けた経験がある労働者は19.3%。

およそ5人に1人が被害を経験している計算です。

この数字が示すように、指導とハラスメントの境界に悩む管理職は少なくありません。

ハラスメントリスクと指導の萎縮

ハラスメントリスクへの懸念は、管理職の指導行動を萎縮させる大きな要因です。

2022年4月にパワハラ防止法が中小企業にも適用されて以降、「何がセーフで何がアウトなのか」を明確に理解しないまま、指導そのものを控える管理職が増えています。

しかし、必要な指導を行わないことは組織の成長を止めることにもつながります。

 

大切なのは「指導しない」ことではなく、「適切な言葉で指導する」スキルを身につけることです。

「伝え方」を変えるだけで関係性は変わる

部下指導の言い方を工夫するだけで、同じ内容でも相手の受け止め方は大きく変わります。

たとえば「なんでできないの?」という問いかけを「どこで詰まった?」に変えるだけで、部下は責められているのではなく支援されていると感じます。

こうした違いには、実は明確な「伝わるロジック」があります。

 

次章では、場面ごとの例文とあわせて、その原則も解説していきます。

【場面別】部下への指導例文15選——「伝わるロジック」つき

部下への指導例文は、場面ごとに使い分けることで効果を発揮します。

 

ここでは4つの場面それぞれに、まず「なぜ伝わるのか」の原則を示し、そのあとに例文を紹介します。

原則を頭に入れてから例文を読むことで、応用力が格段に上がります。

場面伝わるロジック(原則)例文数
日常の声かけ事実+影響の2点セットで伝える3例
改善を求めるとき「人格」ではなく「行動」にフォーカスする4例
成長を促すフィードバック問いかけで部下の主体性を引き出す4例
褒める・承認する事実+影響の2点セットで伝える4例
部下への指導例文

日常の声かけ例文

伝わるロジック▶ 事実+影響の2点セット

日常の声かけで信頼の土台をつくるコツは、「何をしたか(事実)」と「それがどう良かったか(影響)」をセットで伝えること。

「頑張ってるね」だけでは伝わりません。

具体的な行動とその効果を言葉にすることで、部下は「ちゃんと見てくれている」と感じます。

例文1:「○○さん、昨日の会議の資料、わかりやすかったよ。特に比較表の部分が良かった」

→ 「比較表の部分(事実)」+「わかりやすかった(影響)」。

 

具体的な箇所を挙げて褒めることで、部下は自分の仕事が見られていると実感できます

例文2:「最近、チームの雰囲気が良くなってきたね。○○さんが声をかけてくれているおかげだと思う」

→ 「声をかけてくれている(事実)」+「チームの雰囲気が良くなった(影響)」。

 

行動とチームへの影響をセットで伝えると、貢献意識が高まります。

例文3:「この案件、進捗はどう? 困っていることがあれば早めに共有してほしい」

 

状況確認と支援の姿勢をセットで示す声かけです。
報連相を促す効果もあります。

部下への指導例文

改善を求めるときの例文(部下の叱り方)

伝わるロジック▶ 「人格」ではなく「行動」にフォーカス

部下の叱り方で最も重要な原則は、「あなたはだらしない(人格)」ではなく「提出が3日遅れた(行動)」のように、具体的な行動だけを指摘すること。

人格を指摘されると防衛反応が起きて内容が頭に入りません。

行動を指摘されれば「次はこうすればいい」と前を向けます。

例文4:「今回の報告書、提出期限に間に合わなかったね。次回からはどのタイミングで中間報告をもらえると助かる?」

 

「期限に間に合わなかった」という行動の事実を確認したうえで、改善策を部下自身に考えさせる問いかけです。

例文5:「この数字の根拠が少し弱いと感じた。○○のデータを追加すると説得力が増すと思うけど、どうだろう?」

 

「根拠が弱い」という行動レベルの指摘+「提案」として伝えることで、部下の主体性を維持できます。

例文6:「会議中に他のメンバーの発言を遮る場面があったね。まず最後まで聞いてから意見を言うようにしよう」

 

「発言を遮った」という具体的な行動+改善指示を端的に伝える構成。
人格には一切触れていません。

例文7:「同じミスが続いているから、一緒に原因を振り返ってみよう。チェックリストをつくるのもひとつの手だね」

 

「一緒に」という言葉で、責めるのではなく伴走する姿勢を示します。
行動の改善にフォーカスしたまま、具体的な解決策まで提示しています。

部下への指導例文

成長を促すフィードバック例文

伝わるロジック▶ 問いかけで主体性を引き出す

成長を促すフィードバックでは、上司が答えを与えるのではなく、質問を通じて部下自身に考えさせることが鍵です。

「こうしなさい」と指示されるより、「どうすればいいと思う?」と問われた方が、部下は自分ごととして受け止めます。

例文8:「今回のプレゼン、構成がしっかりしていた。次は質疑応答の想定問答も準備すると、さらにレベルアップできるよ」

 

肯定(事実)→ 具体的な次のステップ(問いかけに近い提案)。
フィードバック例文の基本形として覚えておくと便利です。

例文9:「○○さんなら、このプロジェクトのリーダーを任せられると思っている。チャレンジしてみない?」

 

「チャレンジしてみない?」は、指示ではなく問いかけ。
期待を言語化しながら、決定権を部下に委ねることで自己効力感を高めます。

例文10:「この半年で対応スピードがかなり上がったね。次は後輩への教え方も意識してみてほしい」

 

成長の事実を伝えたうえで、新たな役割期待を示します。
「意識してみてほしい」というやわらかな問いかけがポイントです。

例文11:「今回はうまくいかなかったけど、挑戦したこと自体に価値がある。次にどう活かすか一緒に考えよう」

 

「次にどう活かすか」で、部下自身の振り返りを促しています。
失敗をフォローしながら学びに変える、上司としての重要な声かけです。

部下への指導例文

褒める・承認する例文(部下の褒め方セリフ)

伝わるロジック▶ 事実+影響の2点セット

褒め方・承認の場面でも、場面1と同じ「事実+影響」の原則が効果を発揮します。

「すごい」「さすが」のような抽象的な褒め言葉ではなく、「何をしたか(事実)」と「それがどんな成果につながったか(影響)」を具体的に伝えましょう。

例文12:「○○さんが率先して動いてくれたおかげで、チーム全体のスケジュールが前倒しになった。ありがとう」

 

「率先して動いた(事実)」→「スケジュール前倒し(影響)」→「ありがとう(感謝)」。この3点セットで、承認の質が格段に上がります。

例文13:「クレーム対応、冷静にやってくれたね。お客様からも感謝の連絡が来ていたよ」

 

「冷静に対応した(事実)」+「お客様から感謝(第三者からの影響)」。第三者評価を添えると、部下の褒め方セリフの信頼性が増します。

例文14:「前回の反省を活かして改善してくれたのが伝わった。こういう成長が嬉しいよ」

 

「反省を活かして改善した(事実=プロセスの変化)」に注目。
結果だけでなく努力にも価値を感じさせる褒め方です。

例文15:「地味な作業だけど、○○さんが正確にやってくれているから回っている。本当に助かっています」

 

「正確にやってくれている(事実)」+「チームが回っている(影響)」。目立たない仕事への承認は、部下の心理的安全性を高めます。

「伝わるロジック」を体感で学ぶコミュニケーション研修

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部下への指導で避けるべきNGフレーズ

部下への指導で避けるべきNGフレーズとは、人格を否定したり、曖昧な基準で責めたりする言い方のことです。

どれだけ良い例文を知っていても、NGフレーズを使ってしまえば信頼関係は損なわれます。

NGフレーズ問題点(どの原則に違反しているか)改善例
「何度言ったらわかるの?」行動ではなく人格を攻撃している「同じ点でつまずいているね。
一緒に原因を探ろう」
「普通はこうするでしょ」事実も影響も示していない「この場合は○○の手順で進めてほしい」
「前の担当者はできていたよ」他者比較は行動改善につながらない「○○さんのやり方で工夫できる点を考えよう」
「やる気あるの?」詰問であり、主体性を奪っている「最近、何か困っていることはある?」

NGフレーズは「伝わるロジック」の真逆

NGフレーズに共通するのは、先ほどの3つの原則の真逆をやっていることです。

「何度言ったらわかるの?」は人格攻撃(行動フォーカスの逆)。

「普通はこうするでしょ」は事実も影響も示していません。

「やる気あるの?」は問いかけに見せかけた詰問で、部下の主体性を奪っています。

このように、NGフレーズとOKフレーズの違いは「気持ちの問題」ではなく「構造の問題」です

 

原則を押さえておけば、無意識のNGフレーズを自分で修正できるようになります。

感情的になったときの対処法

指導中に感情的になりそうなときは、一度その場を離れて冷静さを取り戻すことが有効です。

「少し整理してから改めて話そう」と伝えるだけでも、感情的な衝突を避けられます。

怒りの感情そのものは自然なことです。問題は、その感情を言葉にそのまま乗せてしまうことにあります。

6秒ルール(怒りのピークは6秒で収まるとされるアンガーマネジメントの考え方)を活用するのもひとつの方法です。

指導力を高める3つのステップ

指導力を高めるステップとは、例文とロジックを知るだけにとどまらず、実践と振り返りを通じて自分のものにしていくプロセスです。

ステップ内容ポイント
Step 1自分の指導パターンを振り返る3つの原則で自己診断する
Step 2例文を1on1で実践してみるまず1つのフレーズから試す
Step 3研修で「伝わるロジック」を体感するロールプレイで応用力を鍛える
STEP

自分の指導パターンを振り返る

指導力向上の第一歩は、自分がどんな言葉で部下に接しているかを客観的に把握することです。

 

過去1週間の指導場面を思い出し、「どんな言い方をしたか」「部下の反応はどうだったか」を書き出してみてください。

3つの原則に照らして振り返ると、自分の指導のクセが見えてきます。

「行動ではなく人格を指摘していた」「事実だけ伝えて影響を添えていなかった」

——こうした気づきがあるだけで、次の指導は変わります。

STEP

例文を1on1で実践してみる

本記事で紹介した例文のなかから、まず1つを選んで次の1on1で試してみましょう。

完璧に使いこなす必要はありません。「今日はこのフレーズを意識して話してみよう」と決めて臨むだけで十分です。

実践してみると、「自分の言葉になじむもの」と「まだぎこちないもの」の違いがわかります。

合うものを少しずつ増やしていくことが、指導力を自然に高めるコツです。

STEP

研修で「伝わるロジック」を体感する

例文とロジックを本格的に「使えるスキル」に変えるには、ロールプレイや体験型の研修が有効です。

頭で理解した原則を、実際の職場シーンを再現した場で練習し、フィードバックを受ける。

このサイクルを回すことで、どんな場面でも自分の言葉で指導できる応用力が身につきます。

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「例文を知っている」から「現場で使いこなせる」への変化を、研修を通じて実現します。

部下への指導」に関するよくある質問(Q&A)

部下への指導とパワハラの違いは何ですか?

業務上必要かつ合理的な範囲の指導はパワハラにあたりません。

厚生労働省の定義では、パワハラは「優越的な関係を背景にした、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、就業環境を害すること」とされています。

指導は「相手の成長」を目的とし、具体的な行動改善を促す点で区別されます。

年上の部下にはどう指導すればいいですか?

年上の部下への指導では、経験への敬意を示しつつ、役割として必要な指摘を行うことが大切です。

「○○さんの経験を踏まえて相談したいのですが」という前置きを入れると、相手のプライドを尊重しながら伝えられます。

部下が指導を素直に受け入れません。どうすればいいですか?

まずは日常の信頼関係を見直しましょう。

普段から声かけや承認ができているかを振り返ってみてください。

信頼の土台がない状態での指摘は、どんな言い方をしても反発を招きやすくなります。

場面1の「日常の声かけ」から始めるのがおすすめです。

褒めすぎると部下が調子に乗りませんか?

「事実+影響」の2点セットで褒めている限り、そのリスクは低いです。

「すごい」「さすが」のような抽象的な褒め言葉は慢心につながりますが、「○○の対応が早かったから、顧客満足度につながった」のように行動と成果を結びつけて伝えれば、部下は「何が評価されたか」を正しく理解できます。

指導例文をそのまま使っても大丈夫ですか?

例文はあくまで参考です。

大切なのは各場面の「伝わるロジック」を理解し、自分の言葉に置き換えること。

「行動にフォーカスする」「事実+影響で伝える」「問いかけで考えさせる」

——この3つの原則を意識すれば、例文がない場面でも応用できます。

まとめ

部下への指導は、「何を伝えるか」と同じくらい「どう伝えるか」が重要です。

本記事では、4つの場面×15の例文に加えて、それぞれの場面で「なぜ伝わるのか」の原則を解説しました。

「行動にフォーカスする」「事実+影響で伝える」「問いかけで主体性を引き出す」。

 

この3つを意識するだけで、例文がない場面でも自分の言葉で指導できるようになります。

まずは1つのフレーズを選んで、次の1on1で試してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。

小さな言葉の変化が、部下との関係性を変える第一歩になります。

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